2011 Fiscal Year Annual Research Report
独立後インドの消費変動:農村社会経済構造の長期変動との関連に注目して
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22330100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳澤 悠 東京大学, 東洋文化研究所, 名誉教授 (20046121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 貴子 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (10307142)
杉本 良男 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (60148294)
杉本 星子 京都文教大学, 人間学部, 教授 (70298743)
杉本 大三 名城大学, 経済学部, 准教授 (90434620)
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Keywords | 経済史 / 東洋史 / 農村社会 / 社会変動 / 消費 / 経済成長 / 国際研究者交流 / インド |
Research Abstract |
1. タミルナードゥ州タンジャーウール県村落の現地調査を行った。また、同州テイルチラーパッリ県の調査データを分析し、過去30年間の変化を検討した。この結果、12年目の修学を境に社会階層間で学歴の格差が拡大している可能性が示唆された。 2. 2010年に社会経済調査を実施したパンジャーブ州村落について、調査結果の分析を進めるとともに追加調査を行い、消費生活の実態を明らかにした。そこから、冷蔵庫、テレビ、携帯電話などの耐久消費財が相対的に貧困な階層にも相当程度普及していることなどが明らかになった。 3. タミル語の雑誌KumudamとAnanda Vikatanの広告頁について、人物・家族・衣服などの分析を行った。また、マラヤーラム語ジャーナルの広告分析を1950年代から80年代までに拡大した。その結果、しばしば「破廉恥」として非難された、「万能薬」、「強壮剤」の広告は予想以上にのちのちまで形を変えながらも残ること、大衆消費財の広告は1960年代以降、その数とバラエティを増すことが確認された。 4. ムンバイのインド繊維省市場調査部やデリーの国立応用経済学研究所などで資料収集を行った。それらの資料から、1990年以降の非綿糸繊維品や既製服・メリヤス製品などの需要の増大は、農村市場で顕著であること、急速に発展した小規模織布工場パワールームは農村市場を基盤としたことなどが明らかとなり、農村市場とくに農村の下層階層の安価な工業製品への消費拡大が、インドの小規模・零細規模企業による工業生産の拡大を支えていることが明らかとなった。 5. National Sample Survey 消費調査の個票データをNSS Regionレベルで分析した結果、食料消費パターンについて明確な地域性が存在することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
村落での世帯聴取り調査、現地語の新聞・雑誌の広告などの分析、National Sample Surveyの個票データの統計的分析は、順調に進行しており、農村社会経済構造の長期の歴史的変容こそが現代インド経済成長の原動力の最重要要因の一つであることを説得的に実証する見通しができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.広告の分析から、消費の実際の変化をどう推定してゆくか、検討する必要がある。 2.旅行や結婚式など、非日常的な消費について、一層のデータ収集の必要がある。 3.教育と消費の関連を分析する必要がある。30年前の村落調査のデータと比較することで、変化を追跡してゆく。 4.成果の公表について、検討する。
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Research Products
(9 results)