2011 Fiscal Year Annual Research Report
農村地域における社会企業活動の国際比較-アジア諸国を中心にして-
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22330109
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大滝 精一 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20138556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NGUYEN ChiNghia 青森中央学院大学, 地域マネジメント研究所, 研究員 (80588616)
王 疆 東北大学, 大学院・経済学研究科, 博士研究員 (90597642)
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Keywords | 社会企業活動 / 国際比較 / 組織学習 / 社会運動論 / 社会ネットワーク論 / 社会問題解決のプロセス / 農村地域 / 女性起業 |
Research Abstract |
平成23年度では、ケースの比較、また、ケース自体をもう少し違う環境・分野に転換・応用する時に、どういうことが起こりそうなのか、という分野を拡大し、分析を深めることができた。例えば、社会企業活動のスケーリングの論点に関しては、組織学習の視点では、中山間地域における農村女性起業の担い手と既存の地域コミュニティとの間の相互作用の実態を分析した結果として、農村女性起業は、既存の地域コミュニティ運営の潜在的担い手ともいえる女性に対して内発的動機づけを促進する機能を持つことが示された。他方、地域の住民を巻き込んでいる社会企業活動は、そのネットワークや活動を地域のセーフティネットとして発揮し、活動を強化していることも見られている。例えば、東北地域の農村地域の産業振興に寄与する農商工連携は、近隣の農家と緊密なネットワークを持ち、全体としてサプライチェーンのネットワークが地域の周縁で完結しているため、大きな地震があったりしても、確実に商品を提供でき、継続して事業を展開できる大きな力になっている。コミュニティベースト(community-based)の農商工連携が復活力というか回復力がすごく強くなり、今回のような震災にあってもそれに対して体制や復旧力が強く、ある意味では、コミュニティレジスタンス(地域の抵抗力)が発揮したともいえる。平成23年度の研究成果を踏まえて、平成24年度において、より積極的には本研究の比較の結論、インプリケーション、新しい研究の方向性について研究の成果を発信していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむねに順調に進展しているが、本研究の調査フィールドのひとつである東北地域は昨年大震災を受けたため、社会企業活動はさらに活発になったと見られている。危機への対応とそれに応じる社会企業活動の展開という要素を本研究の分析枠組みに取り入れ、その論点を巡り、東北地域のフィールドをさらに調査する必要があると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
危機への対応とそれに応じる社会企業活動の展開という要素を取り入れた本研究の研究成果を国内外の学会などにて公表し、国内外の学術雑誌などを通じて積極的に情報発信をしていく。また、研究成果を震災復興にいかしていく。
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Research Products
(2 results)