Research Abstract |
本研究は,ハンセン病に対する日本政府の過てる《強制隔離政策》の犠牲者たちが,現在,高齢化とあいつぐ死亡による減少のなかにいる状況を踏まえ,いまを逃すと二度とチャンスはないという焦燥感にかられつつ,当事者とその家族,あるいはこの問題にかかわってきた支援者・専門家などからの《証言》を,ライフストーリーの聞き取りによって,できるかぎり数多く記録することをめざしている。 2010年度は,研究協力者の黒坂愛衣さんやゼミの学生たちと,鹿児島県の星塚敬愛園を6回訪問し,入所者17名,退所者3名,家族4名(うち2名は健康者でありながら療養所に入所した家族,また,うち1名は入所者と結婚した元看護婦),牧師1名からの聞き取りを実施。熊本県の菊池恵楓園を2回訪問し,入所者8名,退所者2名,家族1名からの聞き取りを実施。鹿児島県の奄美和光園を2回訪問し,入所者4名,退所者5名,家族4名からの聞き取りを実施。東京の多磨全生園には数回訪問し,入所者1名,退所者2名から,また,東京近郊で退所者1名からの聞き取りを実施。瀬戸内海の長島愛生園を1回訪問し,入所者6名からの聞き取りを実施。宮城県の東北新生園を1回訪問し,入所者4名からの聞き取りを実施。福岡市に赴き,家族1名,弁護士2名から聞き取りを実施した。 同時に,聞き取りの音声おこしと語りの編集も精力的に進め,本人による原稿確認も着実に進めている。その一部は,大学院の紀要『日本アジア研究』に公表した。
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