2010 Fiscal Year Annual Research Report
感情の構造と作用-コア・アフェクト理論の検証と応用-
Project/Area Number |
22330195
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
余語 真夫 同志社大学, 心理学部, 教授 (90247792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 英樹 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90221837)
河野 和明 東海学園大学, 人文学部, 准教授 (30271381)
佐藤 健二 徳島大学, ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 教授 (10318818)
湯川 進太郎 筑波大学, 人間総合科学研究科, 准教授 (60323234)
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Keywords | 感情 / 感情概念 / コアアフェクト / 国際比較 |
Research Abstract |
「感情」が、どのような事象を示すかに関し、研究者間で統一的な見解はまだない。感情の主要理論の一つである基本感情説では、6つ(Ekman)あるいは9つ(Izard)の基本感情があるとされ、それぞれ固有の表情や音声、生理的反応などの特異的反応があり、神経回路も違うことが仮定されている。これに対し、Russell(2009)を中心とする次元説の立場からは、基本感情説が主張するような特異的反応も神経回路も見出されていないとする批判がなされている。基本感情説では、感情に関する日常概念(fear,angerなど)は普遍的なものであると考えられているが、一方、言語・文化の違いによって感情を表現する語彙や意味、言語・心理学的作用が異なることが知られている。このような立場からしばしば欧米人と日本人の比較が行われてきた。しかしながら、日本人と韓国人、中国人などは、言語、風土、文化、生活様式などが異なっており、感情の概念構造や意味、心理学的作用は異なっていることが想定される。そこで、本実験では韓国人、日本人に対し、「感情」という言葉を提示し、その概念に収まる関連概念を自由に列挙させ、その結果をFehr & Russell(1984)と比較した。その結果、日本人(196名)で2度以上出現した感情語は101語、韓国人(207名)では189語の感情語が抽出された。日本人では「悲しい95.4%」、「楽しい73.5%」、韓国人では「キップンpleasure84.5%」「スルプンsadness84.1%」が上位を占めた。これに対しアメリカ人では「happiness76.0%」「anger74.5%」が上位であった。なお、日本人と韓国人を比較すると、韓国人の方が上位10の感情語に含まれるポジティブな感情語が若干多いこと、また、日本では「悲しい」「楽しい」「うれしい」「怒り」の後著しく他の言葉の出現頻度が下がり、こうした傾向はアメリカの結果と同じであったのに対し、韓国では上位2語の後の出現頻度が下がるが、8番目にいたってもまだ30%を維持し、得られた感情語が豊富である点が異なっていた。
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Research Products
(9 results)