2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22330228
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺田 寅彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (30554456)
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Keywords | 絵 / 英語教育 / 教科書 / ドイツ |
Research Abstract |
本研究はヨーロッパの英謡教育において教科書の中の挿絵の役割を探り、またその挿絵から理解される教育政治・文化背景を明らかにしていくものである。英糖は多くの国で学習されるが、当該国にとって異文化である英米言語・文化をどのように表現しているかを分析することになる。 平成23年度は研究対象国としてドイツを選び調査を進めた。本年度は特にワイマール共和国の時代からナチス政権下における英語教科書を分析対象としたが、その特徴は次の3項目にまとめることができるだろう。 1従来の証言ではヒットラー政権下の英語教育はファシズム的プロパガンダからの影響が少ない科目とされていた。確かにテキストの例文からは直接的なナチス政権のプロパガンダは強く認められない。 2しかし、イギリスの帝国主義的プロパガンダを経由することで、ナチス政権が帝国主義的な世界進出を正当化していることが、植民地国家ローデシアならびにその実質的統治者セシル・ロードを扱った教材を通じて明らかにされた。 3特にドイツの英語教科書にのみ頻出するボーイスカウトの活動を扱った一見変哲のない挿絵において、ローデシアの帝国主義を強調していることが明らかとなった。 以上のように従来の常識を覆す成果が英語教科書のテキストと挿絵を分析することで得られた。 同時に昨年度は閉館されて研究が進まなかった仏ルーアン市にある仏国立教育博物館に所蔵されている教科書の調査も行われたが、前年度のリヨン市の仏国立教育研究所付属図書館の調査を裏付けする結果となった。同時にこのルーアン市の所蔵品の中で、ドイツにおいてほ戦災で散逸してしまったナチス時代の投影器具用教材が手つかずの状態で発見されだ。平成23年度のドイツ英語教育の研究をふまえて平成24年度において引き続き当該教材の調査が行われる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの「研究の目的」の達成度はやや遅れているが、同時にこれは調査により得られた成果が大きかったためであり、その資料調査ならびに結果の分析に時間と労力を要したためである。ドイツの調査については予定されていた東西分断時代の英語教育研究を平成24年度に進め、またフランスで新たに発見されたドイツ占領期の教材も同じく調査することになる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策については、予定されていたイタリア・パドゥー大学教育学科付属教育博物館でのイタリア英謡教育研究をムッソリーニ政権下のものに的を絞って行い、平成23年度の研究で得られた知見と比較分析することで効率的に研究を行う予定である。同時にドイツで引き続き東西分断時代の英話教科書の資料調査を特に東側のものに集中して行い、また仏ルーアン市国立教育博物館所蔵品の新資料の調査は、ナチス政権の軍事プロパガンダが明らかなものに絞って分析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)