2011 Fiscal Year Annual Research Report
社会理論・社会構想と教育システム設計との理論的・現実的整合性に関する研究
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22330236
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
廣田 照幸 日本大学, 文理学部, 教授 (10208887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮寺 晃夫 筑波学院大学, 経営情報学部, 教授 (10041055)
小玉 重夫 東京大学, 教育学研究科, 教授 (40296760)
稲葉 振一郎 明治学院大学, 社会学部, 教授 (40252944)
山口 毅 帝京大学, 文学部, 講師 (80459388)
森 直人 筑波大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (10434515)
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Keywords | 教育学 / 教育社会学 / 理論 / グローバリゼーション / 教育システム / 教育改革 / 戦後教育 / 教育と公正 |
Research Abstract |
現代社会の特質を理論的に解明する社会学・経済学の分野を中心にした社会理論と、主に政治思想の分野で展開してきたリベラリズムの規範理論とが、教育システムの設計に関してそれぞれどのような理論構築をしてきたか、また、それぞれが現代日本の現実の教育システムとどこまで整合的なのかを、全体会を実施しつつ、規範理論班、社会理論班、歴史班の3つに分かれて検討する作業を進めた。 (1)全体会の開催:年度内3回開いた全体会では、「教育と配分・再配分システム」「教育と政治・権力」という2つのテーマを立てて、報告と議論を行った。各回2つのサブテーマを立て、研究分担者・連携研究者・研究協力者の中から報告者を決めて、ゲストも交えながら、それぞれの主題を検討した。 (2)グループ会合の開催(年度内各グループ2~3回):規範理論班、社会理論班、歴史班の3つに分かれて、それぞれ課題の考察のための会合を行った。歴史班では夏に合宿をやり、戦後日本の経済変動と教育システムの関係についての集中的な議論を行った。 (3)外国調査(平成23年11月):グループ横断的なサブ・チームを作り、山口毅・下司晶をリーダーとしてドイツを訪問調査し、ドイツで進められている教育改革の理論的基礎についてのヒアリング調査を行った。 (4)研究論文集の作成:生産的な議論ができた全体会のセッションなどの記録を収録し、課題に関わる投稿論文を収録した研究論文集を編集、刊行した。 本年度は特に、規範理論の枠組みで論じられている教育システムのあり方と現代社会理論の中で描かれているそれとの関係を検討する機会をもつことができた。両者の接合点をさがす糸口が見出されたといえそうである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的な問題の枠組みを共有する全体会と、それぞれの視点から教育システム設計の問題を掘り下げる3つの班の研究とがうまくかみ合って、これまで異なる議論の次元のものとして語られていた問題を共通の観点から捉え直すことが可能になってきている。すなわち、教育哲学と現代社会学理論との関係をふまえながら、教育システムのあり方の選択肢を検討できるようになってきた。アメリカ、ドイツの訪問調査により、われわれの研究課題が先進国に共通な普遍性をもつものであることも確認できた。ただし、歴史研究の具体的な変動論とどうかみ合わせていくのかは、まだ不十分なので、最終年度の課題になる。年度末に刊行した研究論文集は、かなり重要な論点をめぐる議論を収録することができ、今後の教育システム設計の際に重要な示唆を含んだものといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度には、検討してきた課題のとりまとめを行う予定である。夏に合宿をやり、3つの班を横断したテーマで集中的に議論を行い、それをふまえて11月に公開研究会を開催し、今後の教育システム設計の方向について、複数の視点から見てきた議論の重ね合わせをすることになる。なお、この課題に関心を寄せる連携研究者や研究協力者の論文のとりまとめのための出費を優先していくことにし、そのため最終年度に予定していた海外調査は資金が不足するので、それはとりやめる(すでにアメリカ・ドイツの訪問調査で、予定していた海外における動向の把握のかなりの目的は達せられている)。最終年度の成果は研究論文集にとりまとめていくとともに、英語による個別研究成果の発表も進めていくことを考えている。
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Research Products
(14 results)
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[Book] 教育史入門2012
Author(s)
森川輝紀、小玉重夫、木村政伸、橋本美保、貝塚茂樹
Total Pages
224
Publisher
放送大学教育振興会
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