2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
都築 暢夫 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10253048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 隆雄 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00312794)
志甫 淳 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (30292204)
加藤 文元 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (50294880)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 数論幾何 / 数論的D加群 / リジッド解析幾何 / p進コホモロジー / 過収束Fアイソクリスタル / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
研究代表者は、正標数代数多様体上の過収束アイソクリスタルの圏の制限関手に関して、局所完全交叉代数多様体で補集合が余次元2の開部分多様体の場合に充満忠実性が成り立つことを示した。従来の代表者の研究では、幾何的単枝代数多様体で補集合が余次元1の開部分多様体の場合が最も一般的な場合であったが、それを拡張した。局所完全交叉多様体の連結成分の連結性に関するHartshorneの結果を利用することで、コホモロジー的降下を利用したリジッドコホモロジーの計算を可能にした。余次元が2は本質的な条件である。この証明は、幾何的であり、良いコホモロジー理論において同様に成り立つ。 連携研究者は、D加群におけるFrobenius構造や重みの理論に置いて成果を上げ、また別の連携研究者はクリスタルコホモロジーの重みの理論を精密化した。 2012年10月29日から11月2日に東北大学にて研究集会「p-adic cohomology and its applications to arithmetic geometry」をこの科研費での支援のもとで開催した。若手の外国人研究者7人と国内研究者11人を招聘し、最進の数論幾何のp進的方法とその展開について議論し、代表者、分担者および連携研究者が成果発表をした。新しい試みが多数発表され、有意義な研究集会で会った。 2013年に繰り越した分において、台湾大学から外国人研究者を招聘し、非正則局所系を係数に持つde Rhamコホモロジーについて討論し、p進コホモロジーの今後の展開に関して新しい方向性を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
過収束Fアイソクリスタルはp進コホモロジーを考察する上で最も基本的な概念であり、その純性は重みの理論や消滅サイクルを論じる上で鍵になるものである。平成24年度の研究では、局所完全交叉多様体と余次元2の閉部分多様体の組に対して、過収束Fアイソクリスタルの制限関手が充満忠実であることを得た。また、その証明は局所完全交叉多様体の既約成分の連結性を用いたものであり、コホモロジー理論によらない幾何的なものである。この研究ではリジッドコホモロジーなどのp進コホモロジーを主に扱っているが、良いコホモロジー理論の持つべき性質は並行して成り立つべきという視点に立脚したものである。この結果により、エタールコホモロジーとp進コホモロジーの類似性がマイルドな特異性を持つ代数多様体の場合にも成り立つことが示せた。 2012年10月に研究集会「p-adic cohomology and its applications to arithmetic geometry」をこの科研費での支援のもとで開催した。この研究集会では、外国人研究者7名を含18人が、p進コホモロジーとその応用に関して最新の結果を講演した。最先端の研究が紹介され、活発な議論が取り交わされた。数論幾何におけるp進コホモロジーの新たな位置づけや可能性が議論され、当研究にのみならず参加者にとって極めて有意義であった。 以上の理由で、当初の計画以上に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
この研究は数論幾何の各方面への応用が可能なp進的手法の基礎付けと開発を一つの目標としているので、研究すべきテーマはつきない。特に、p進コホモロジーにおける消滅サイクルの理論の定式化および具体的に計算可能な方法などの研究やその数論幾何への応用の研究を進める。 研究代表者は、必ずしも滑らかでない代数多様体上のリジッドコホモロジーに関する研究を引き続き進める。特に、局所完全交叉代数多様体と余次元3の閉部分の組に関する過収束Fアイソクリスタルの圏の同値性やClemens-Schmid完全列の数論的代数多様体への応用に関して考察を進める。連携研究者は数論的D加群の消滅サイクルの構成とp進Langlands予想の解決に向けた研究を進める。 2013年10月と2014年1月に外国人研究者を招聘し、「p進コホモロジーとその数論幾何への応用」をテーマに研究集会を開催する。この研究課題のもとでの成果発表をするとともに、関連する若手研究者の成果を聞き、討論し、さらなるp進的手法の研究の展開につなげる。 また、この研究課題の援助のもとで2013年7月に広島大学で「第12回広島仙台整数論集会」を開催する。
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Research Products
(34 results)