2011 Fiscal Year Annual Research Report
進化するグレブナー基底の理論を戦略とする凸多面体を巡る未解決問題の探究
Project/Area Number |
22340008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日比 孝之 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (80181113)
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Keywords | グレブナー基底 / 辺凸多面体 / 巡回凸多面体 / 正規凸多面体 / トーリックイデアル / アルゴリズム |
Research Abstract |
凸多面体の組合せ論の伝統的な話題である「凸多面体の面の数え上げ」及び「凸多面体の三角形分割の構造」が本基盤研究の研究対象である。これらの研究の推進には、純粋な組合せ論のテクニックに加え、代数的なテクニックが不可欠である。本研究の目的は、これらの伝統的な話題に関する幾つかの未解決問題に挑戦する戦略の礎となるグレブナー基底の代数的基礎理論を構築することである。 平成23年度は、主に、有限グラフに付随する辺凸多面体の超平面による分離問題と巡回凸多面体の正規性に関する具象的研究を展開した。 前者の研究は、MIT(マサチューセッツ工科大学)の大学院生 Nan Li と Yan Z. Zhang との共同研究として遂行された。有限グラフに付随する辺凸多面体が超平面によって二つの整凸多面体に分離されるとき、分離可能であると呼ばれる。研究代表者らは、辺凸多面体が分離可能であるか否かを判断するアルゴリズムを提唱し、更に、辺凸多面体 P が P_1 と P_2 に分離されるとき、P が正規であるための必要十分条件は P_1 と P_2 の両者が正規であることを証明することに成功した。 後者の研究は、研究代表者らと、ドイツからの留学生 Lukas Katthan との共同研究である。パラメータτ_1, . . . ,τ_n(τ_iは整数)によって定義される巡回整凸多面体が正規であるためのパラメータが満たすべき必要十分条件を探すことを最終目的とし、その第1歩となる幾つかの結果を得た。投稿中の論文は [T. Hibi, A. Higashitani, L. Katthan and R. Okazaki, Normal cyclic polytopes and non-very ample cyclic polytopes, arXiv:1202.6117]に載せ、公開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
凸多面体の構造に関する論文、及び、トーリックイデアルのグレブナー基底に関する論文が順調に執筆されており、おおむね順調に進展していることが客観的に評価される
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Strategy for Future Research Activity |
統計数学における実験計画のデータ分析に、中心的対称配置のトーリックイデアルのグレブナー基底の理論を応用することを念頭に置き、中心的対称配置のトーリックイデアルの代数的探究を展開する。加えて、空な格子単体(頂点以外に格子点を含まない格子単体)をどれだけ膨らませれば、正則単模三角形分割が存在するかの議論を展開する。
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