2011 Fiscal Year Annual Research Report
無限多倍長数値計算環境における数値解析学と数値計算手法の新しい展開
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22340018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
磯 祐介 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70203065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 佳正 京都大学, 情報学研究科, 教授 (50172458)
久保 雅義 京都大学, 情報学研究科, 講師 (10273616)
藤原 宏志 京都大学, 情報学研究科, 助教 (00362583)
今井 仁司 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (80203298)
大西 和榮 茨城大学, 理学部, 教授 (20078554)
坂上 貴之 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10303603)
西田 詩 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (10274838)
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Keywords | 数学一般 / 応用数学 / 数値数学 / 数理モデル / 応用解析 / 数値解析 / 多倍長数値計算 / 非適切問題解析 |
Research Abstract |
研究代表者および分担者(藤原宏志氏)によって環境整備が行なわれている高速な無限多倍長数値計算環境 exflib は、インターネットで広く公開されていることもあり、先端的な科学・技術に関する数値シミュレーションを行なう研究者の間で高い評価を受けるに至っている。また任意の桁数の精度で科学・技術に関する各種の数値計算が行なえることになり、これまでには数値計算が不可と思われていた問題の扱いや、あるいは実際的ではないと考えられていたアルゴリズムの実現を再考する必要も生じている。このような諸問題を、「高精度計算」の視点から多角的に論じることが本課題研究の目的で、種々の成果を得るに至った。 圧縮性流体の衝撃波の問題から派生する Tricomi 方程式については、スペクトル法と多倍長数値計算の組み合わせにより、これまでには困難であった解の数値シミュレーションを行なって可視化し、幾つからの新たな問題提起を行なった。素粒子物理の解析から派生する多重積分の極限計算に多倍長数値計算を利用し、これまでは常識とされていた極限値が誤りであったことを指摘した。また、行列の固有値問題に対する homotopy 法の新たな実装を行ない、この数値計算手法の有効性を再発見した。 高精度計算環境の GPGPU に基づく並列計算による高速処理の研究も行ない、限られたケースに関してではあるが、極めて高い高速化を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高速多倍長数値計算環境に対する期待とニーズは、インターネットで広く公開されている無限多倍長数値計算環境 exflib のダウンロード回数の増加を見ても分るとおり、本課題研究申請時よりも大きくなっている。このため、先端的な科学・技術に関して高精度の数値計算を行なう研究者からの研究上のコンタクトも増えており、当初計画以上に本課題研究に関連する個別の課題が増えている。このため、事例研究の積み重ねが当初計画以上となっている。 また、GPGPU を利用した計算環境の高速化も、限定されたケースではあるが、研究協力者として参画した大学院生が顕著な成果を挙げている。また homotopy 法による固有値問題の数値計算においては、従来アルゴリズムの検証に加えて新たなアルゴリズムの提案も行なわれた。 以上を総合し、本課題研究の達成度は「概ね順調」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度までに得られた成果を発展的に継続することに加え、未来の医用技術一つと考えられる光トモグラフィ (DOT) の基礎方程式の高精度数値計算を行ない、多倍長数値計算環境のトモグラフィへの適用についての新たな知見の獲得を目指す。また平成24年度が研究最終年度であることから、本課題研究で得られた事例研究の蓄積を国際会議等によって世界に向けて広く周知を図り、我が国発の高速多倍長数値計算環境 exflib の活用を世界に向けて発信する機会を増やしたい。
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Research Products
(5 results)