2011 Fiscal Year Annual Research Report
レヴィ過程及び無限分解可能分布に関連する諸問題の総合的研究
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22340021
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前島 信 慶應義塾大学, 理工学部, 名誉教授 (90051846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲田 均 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40118980)
田村 要造 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50171905)
安田 公美 慶應義塾大学, 商学部, 准教授 (40284484)
鈴木 由紀 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30286645)
佐々田 槙子 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (00609042)
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Keywords | レヴィ過程 / 無限分解可能分布 / α-自己分解可能分布 / 安定分布 / 完全自己分解可能分布 / 半レヴィ過程 / 国際研究者交流 / スイス:チェコ:フランス:台湾 |
Research Abstract |
(1)安定分布の、レヴィ過程に関する確率積分による特徴づけは、狭義安定分布については証明が完成したが、完全自己分解可能分布については、レヴィ過程に関する確率積分による特徴づけはできないことがわかった。その代わり、対称完全自己分解可能分布については、加法過程に関する確率積分による特徴づけの可能性がわかり、現在その証明の完成に向けて努力している。 (2)半レヴィ過程の見本関数の再帰性、過渡性の問題について研究実施計画の中で述べたが、それについては、レヴィ過程と同様、どちらかに限るという二律背反性があることが証明できた。証明のためには、半ランダムウォークという新しい概念の導入がポイントであった。その結果、半レヴィ過程の問題を、半レヴィ過程から作ったレヴィ過程の問題に帰着させることが出来た。 (3)α-自己分解可能分布については、その具体例が乏しかったが、ガンマ確率変数の対数を取ったものが、その例になっていることがわかり、詳しく調べた。 (4)レヴィ過程を指数関数の肩に乗せ、それを別のレヴィ過程で積分をして得られる無限分解可能分布が近年いろいろな局面で話題になり、多くの研究論文が出ているが、具体的なレヴィ過程を選ぶことによって、一般ガンマ畳み込み分布の例をたくさん構成することができた。 (5)レヴィ測度がフラクショナル積分を含むような無限分解可能分布が、クラスAの一般化になることを見つけ、それらの分布およびクラスの多くの新しい性質を見つけた。同時にそれらの分布の変換が、ベッセル関数やウィッタッカー関数のような特殊関数と関連することも見つけた。 (6)前島がスイスETH,チェコのカレル大学、フランスのリール大学へ出張、佐々田が台湾へ出張し、国際研究者交流を通して、研究実施計画に述べた問題解決のヒントを得ることに努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)安定分布と完全自己分解可能分布の確率積分表現について、当初の目標の範囲で研究が進行した。 (2)半レヴィ過程の再帰性と過渡性の問題に完全な解決を与えることができた。 (3)α-自己分解可能分布に関連する諸問題について、順調な研究が進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
9.研究実績の概要の(1)で述べた問題が、現在未解決の問題として残っている一番大きな問題である。すなわち安定分布の確率積分表現については、狭義安定分布であることを仮定しているので、一般の場合が残っている。しかしそれについては、証明のアイディアは持っているので、時間をかければ最終研究年度の24年度に解決できると思っている。また、完全自己分解可能分布の加法過程による確率積分表現の証明については、まず対称分布の場合であるが、加法過程による確率積分論の論文(Rajput-Rosinski,K.Satoら)などを十分検証すれば、彼らのアイディアを活かせると思っている。対称分布でない場合も、基本的には技術的な問題だけなので、時間をかければ解決できると思っている。
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Research Products
(16 results)