2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340035
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
辻井 正人 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (20251598)
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Keywords | 量子カオス / カオス / 力学系 / 半古典解析 / 関数解析 |
Research Abstract |
本年度の研究においては、前年度に引き続きシンプレクティックアノソフ写像に対する前量子転移作用素のスペクトル構造について詳細な研究を行い、特にそのスペクトルはいくつかの同心円環領域に含まれることをF.Faure氏(Fourier研究所,フランス)と共同研究で示した。共同研究は日常的には電子メールやビデオ電話を用いて行ったが、5月にNice近郊で行われた研究集会に参加して、その後で数日集中的に議論することで研究を加速することが出来た。この研究の内容は、本研究課題の主目的であるところの、測地流に対する転移作用素のスペクトルを研究するために最も重要なステップとなる結果である。現在、論文を執筆中であり、今年度中にプレプリントとして発表する予定である。さらにこの結果を拡張し、跡公式などの新しい要素を付け加えることで拡張したものを論文として発表することを計画している。 測地流に対する転移作用素についても上記のFaure氏と議論を始めている。それについてはごく最近になり、これまでの困難(固有値の存在や個数の下からの評価)について解決に向かう新たなアイデアを得て、現在精密な議論を構築している途中である。順調に行けば本研究計画で構想していた結果の主たる部分についてほぼ満足の行く結果が得られるのではないかと考えている。この点について3月にFaure氏をGrenobleに尋ねて、10日ほど徹底的に議論したいと考えている。 これまでの研究結果については、海外での研究集会や国内のいくつかの研究集会で講演した。特に上記のフランスにおける研究集会や姫路で行われた研究集会は半古典解析や幾何解析の専門家に話を聞いてもらう絶好の機会であって、そこでの議論は今後の研究の方向性を定める上で非常に重要であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
このまま順調に研究が進展すれば、当初の研究の主目的である測地流の半古典転移作用素のスペクトルやゼータ関数についての結果について主たる部分が得られるはずである。これは当初の計画よりもかなり早い展開である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究は順調であるので、特に変更することなく続ける。また、現在研究をまとめて論文にする作業が遅れ気味であるので、まとまった部分から順に公開する。
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Research Products
(3 results)