2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340075
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上原 洋一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (30184964)
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Keywords | 時間分解計測 / 原子位置分解能 / STM / 発光計測 / 半導体 / ナノ構造 |
Research Abstract |
本研究の目的はピコ秒の時間分解能と原子レベルの位置分解能を有する計測法を開発し、半導体ナノ構造のフォノンの寿命時間を計測することにある。具体的には、ピコ秒レーザーに光遅延回路を組み込むことでポンプ・パルスとプローブ・パルスを生成し、それらをSTMの試料-探針ギャップに照射した際に観測されるSTM発光スペクトルの特性変化をポンプ・パルスとプローブ・パルスの時間間隔の関数として計測を実施することにより、フォノンの寿命時間を決定する。 必要な主要実験機器はピコ秒レーザー発生装置、光遅延回路、STM装置、発光計測系である。この中で本研究計画で準備する必要があったのは、光遅延回路であり、それは平成22年度中に終了していた。また、試料系としてはピコ秒レーザー照射時のみにSTM発光を示すSb2Te3である。 計画調書に従えば、本手法の実証実験をSb2Te3の連続薄膜を試料系として平成22年度中に実施し、平成23年度は、Sb2Te3のナノ構造を試料とした実験を行うとなっている。しかし、平成22年3月に発生した地震により、主要装置の内、ピコ秒レーザー発生装置(励起用レーザーの出力低下)、STM装置(探針スキャナーの動作不良)、発光計測系(動作不良)が故障した。平成24年の2月末までにこれらの機器の修理(業者からの返却)は終了したが、個々の機器のキャリブレーションとそれに引き続くシステムの再構築、さらには被災した実験室(コンクリート壁の崩落)の復旧作業に伴う実験の中断等で、実質的な研究は光遅延回路の試験と試料表面の清浄化条件の決定に留まった。試料の清浄化過程を詳細に検討し、見直しを行った結果、大気中を搬送された試料にも関わらず、MBE法で作製された試料と同レベルのUPSスペクトルが得られるまでの清浄化に成功した。これは本研究の実施にとって極めて有用な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上述のように、平成23年3月の震災により、実験室や主要機器が損傷を受け、その修理・修復に大半の時間がとられたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究・実験に必要な機器の修復が終了した(最後になった実験室の壁の崩落修理完了は平成24年9月)ので、予定した実験を速やかに実施するのみである。
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