2010 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧下で単体が示す特異な構造相転移と超伝導の理論的解明
Project/Area Number |
22340106
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
鈴木 直 関西大学, システム理工学部, 教授 (40029559)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 竜樹 金沢大学, 数物科学系, 教授 (30272941)
|
Keywords | 超高圧極限物性 / 第一原理計算 / 圧力誘起超伝導 / 圧力誘起構造相転移 / 単体 / 構造探索 / 進化アルゴリズム / 分子動力学 |
Research Abstract |
カルシウムの圧力誘起構造相転移について二つの重要な結論を得た。第1に、IV相(P4_12_12 : 74-109 GPa)とV相(Cmca : 109-117 GPa)の高圧側で、VI相(Pnma : 117-135 GPa)とVII相(I4mcm(00γ) : 135 GPa-)の存在を第一原理的計算で予測したが、最近の実験によりこの相転移が実際に確認された。第2に、実験ではIII相が単純立方(sc)構造と同定されているのに対し、静的状態での第一原理的研究ではscはエネルギー的・力学的に不安定であるという問題が存在するが、我々は300Kにおいて第一原理分子動力学シミュレーションを実行することにより、scは有限温度下において動的安定構造として出現する可能性があることを突き止めた。 超高圧下にて物質の安定な構造を探索する手法については、遺伝的アルゴリズムを採用した計算コード開発に成功した。これは、探索アルゴリズムの局所最適化部分に、密度汎関数理論に基づく局所密度近似の第一原理計算を採用したものであり、広範な物質群に適用可能なものとなっている。まずは、単原子の単位胞1原子の系に適用して、探索法の有効性を検証した。この検証にはシリコンやリンの高圧相を使い、これまでに明らかになっているいくつかの理論計算および実験結果を再現することに成功した。遺伝の確率を制御するいくつかのパラメータに対する探索結果を比較することによりパラメータ値と探索結果の因果関係を調査した。また、第一原理計算の部分では膨大な計算時間が必要なため、K点サンプリングに由来する計算精度と得られる安定構造との関係について検討した。
|