2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
羽田野 直道 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (70251402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 統太 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50280871)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 開放量子系 / 量子ドット / 厳密解 / 電気伝導 / 負の微分コンダクタンス |
Research Abstract |
分散関係を線形化した模型に対する厳密解の研究において大きな進展がありました。まず、電子が入って相互作用する2つの2準位系量子ドットと導線とのカップリングを任意の値にすることに成功しました。これによって、量子ドットが非対称に導線にカップルしている場合が計算できるようになり、実際の実験状況により近づけることができるようになりました。また、磁場がかかってアハラノフ・ボーム効果がある場合も計算できるようになりました。 次に、多体の散乱状態にある種のヒエラルキーがあることを発見しました。開放量子系なので共鳴状態が存在しますが、一体の共鳴状態を組み合わせが二体の束縛状態となり、二体の共鳴状態の組み合わせが三体の束縛状態になるという構造が存在することが明らかになりました。多体の共鳴状態は原子核の分野でも注目されている状態であり、分野をまたがる大きな成果と考えています。 最終的な結果としては、電気伝導の電流電圧特性を具体的に計算しました。クーロン相互作用が入ると、微分コンダクタンスが負になる領域が現れることを示しました。これは、最近のモンテカルロ計算や摂動計算と一致する結果です。 分散関係を線形化せずエネルギーバンドのまま数値的厳密に扱う手法も、引き続き進展しています。二体の束縛状態が、分散関係を線形化した場合の厳密解とほぼ同じ形で与えられることを数値的に確認しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初計画通りに進行しています。数値計算アルゴリズムの開発が計画より少し遅れていますが、これは日米で分かれての作業が予想以上に時間をとっているためです。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き計画通りに進行して行く予定です。特に今年度中に数値計算アルゴリズムの開発を必ず終えるため、重点的にエフォートを配分したいと考えています。
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Research Products
(22 results)