2011 Fiscal Year Annual Research Report
側鎖型高分子液晶の層ゆらぎダイナミクスの観測とせん断流動配向メカニズムの解明
Project/Area Number |
22340120
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
戸木田 雅利 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30301170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姜 聲敏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (00523664)
松岡 辰郎 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60252269)
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Keywords | ネマチック液晶 / せん断流動 / スメクチック揺らぎ / 高分子液晶 / 光子相関スペクトル |
Research Abstract |
申請者は,せん断流動下,側鎖型高分子スメクチック液晶がせん断速度増加にともなって配向転移したり,粘度が2段階の減少を示す特異な粘性挙動を示したりすることを見出した.これら配向転移や特異な粘性挙動は,熱ゆらぎによる層の動的な波うち(層ゆらぎ)とせん断とのカップリングに起因すると予測される.本研究は,高分子スメクチック液晶の層ゆらぎのダイナミクス(時間スケール)を動的光散乱光子相関法で測定し,層配向転移のメカニズムと特異なレオロジー特性の要因を実験的に明らかにすることを目的とする.本年度はその前段階として,側鎖型高分子ネマチック液晶のスメクチックゆらぎの緩和時間を光子相関スペクトルで観測し,格子相関スペクトルにおける高分子効果を明らかにするとともに,その配向および分子量誘起配向転移メカニズムを解明することとした.散乱面に対して入射偏光方向,ダイレクター方位を垂直,検光子方向を平行としたジオメトリーで測定した光子相関スペクトルは10^<-1>~1秒に液晶ダイレクターのゆらぎによる2つのモードが重なった緩和と100秒オーダーに側鎖型液晶にだけ見られる緩和モードが確認された.これらの角度依存性を評価する前に,試料の屈折率を測定し,散乱ベクトルの精緻化を行った.その結果,低分子ネマチック液晶5CBで緩和時間が文献値と非常に良い一致を見た.そこで,側鎖型高分子ネマチック液晶,そのモデル化合物として二量体ネマチック液晶についても同様の検討を行い,さらに,観測された緩和を指数βが1の2つの緩和の重なりあいとして解析しなおした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光子相関スペクトルの解析方法の改善と,測定屈折率による散乱ベクトルの精緻化を行ったため.
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Strategy for Future Research Activity |
光子相関スペクトルの解析方法の改善と,測定屈折率による散乱ベクトルの精緻化についてはその手法を確立した.側鎖型高分子ネマチック液晶に特徴的な100秒スケールについて,ほかの測定手法(粘弾性,誘電緩和)での測定を試み,この緩和モードの解明を進める.スメクチック液晶については,層揺らぎをそれとカップルするダイレクターゆらぎのスプレイモードの観測を通して理解を進める.
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Research Products
(6 results)