2011 Fiscal Year Annual Research Report
スラブ沈み込みに伴う日本列島下の温度分布・物質循環と地震学的微細構造の関連性
Project/Area Number |
22340126
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉岡 祥一 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (20222391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 淳一 東北大学, 大学院・理学研究科・地震・噴火予知研究観測センター, 准教授 (30361067)
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Keywords | 熱対流計算 / 地殻熱流量 / 地震波速度構造 / スラブ内地震 / 太平洋プレート |
Research Abstract |
スラブの沈み込みに伴う水の流れのモデル化をめざし、主に海洋性地殻からの脱水過程をターゲットとして、Ohmori(2009)の含水MORBの相図を数値化し、熱と流れの2次元スラブ沈み込みモデルのコードに取り込み、相転移に伴う脱水量の計算を可能にした。 スラブの沈み込みに伴う温度分布を推定するため、西南日本において、2次元モデルでパラメター・サーチを行った。沈み込むプレートの年齢、沈み込み速度、プレート形状を与え、プレートが沈み込んでからの経過時間・熱伝導率の空間分布・ポテンシャル温度などの不確定要素に対してパラメターの範囲を絞り込んだ。特に、Hi-netの高い地殻熱流量を説明するため、プレート間の摩擦熱・地表の削剥を考慮したモデルを新たに構築し、その温度構造と流れ場を明らかにするとともに、初期温度分布や放射性元素の空間分布の影響も評価した。 東北地方で発生した稍深発地震の地震波形を用いて、地殻・マントルの三次元地震波減衰構造を推定した。その結果、背弧側のマントルウエッジには、沈み込むスラブにほぼ平行な高減衰域が分布すること、その高減衰域は南北方向にも不均質であり、第四紀火山下のマントルで特に高減衰になっていることなどを明らかにした。また、稍深発地震の波形からプレート境界でのPS変換波を同定し、その走時から海洋性地殻内のP波速度分布を推定した。得られた海洋性地殻の速度は、火山フロントを境に大きく変化し、前弧側で7km/s程度、背弧側で7.5-8km/s程度であった。この速度の違いは海洋性地殻の内の鉱物の相転移と深く関係していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した通り、着実に研究を進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは予定通り研究が進行しているので、今後もこれまで通りのペースで研究を進めていく予定である。
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