2011 Fiscal Year Annual Research Report
気候システムにおける大気重力波の直接・間接効果の研究
Project/Area Number |
22340134
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 薫 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (90251496)
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Keywords | 中層大気 / 重力波 / 物質循環 / 極成層圏雲 / 極中間圏雲 |
Research Abstract |
重力波特性を正確に表現するパラメタリゼーションの開発に必要な束縛条件を与えるための重力波の直接効果、間接効果の具体的かつ定量的描像を、高解像大循環モデル(GCM)、高解像衛星観測、化学気候モデル(CCM)等の大量データを駆使し、解明することを目的として、今年度は特に以下の研究を行った。 1.高解像大気大循環モデルシミュレーションデータを用いた重力波活動度の季節変化の解析:昨年度考案した新たな重力波運動量フラックス推定方法を高解像モデルデータに適用し、重力波活動度の季節変化を解析した。その結果、従来よく研究されてきた波のエネルギーは必ずしも正確に重力波活動度を表してはいないこと、それは固有位相速度の季節変化に起因することがわかった。また、重力波活動度は夏の亜熱帯域と冬の中高緯度域で極大となり、春、秋には極小となること、その原因はこれまで考えられてきた平均風によるフィルタリングよりも、重力波の発生源の強さの季節変化であることも分かった。 2.地球回転の水平成分に起因するコリオリ力を考慮したときの重力波特性:通常考えられていない地球回転の水平成分に起因するコリオリ力(fH力)による重力波特性の変化を理論的に調べた。波の特性を記述する偏波関係式・分散関係式を導出し、波数・周波数空間におけるそれぞれの領域においての、鉛直群速度の向きを力のバランスから説明できることを示した。また、fH力があると安定度の低い領域に捕捉波が存在することを理論的に見出し、現実大気のデータ解析を行って、その存在を確認した。これはJ. Meteorol. Soc. Japanに投稿した。 研究成果は、国内学会の他、国際測地学・地球物理学連合総会(豪)、第13回MSTレーダーワークショップ(独)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
重力波パラメタリゼーションのソースの記述に必要な、全運動量フラックスの推定方法が新たに考案できた。また、モデルの高解像度に伴い、無視できなくなってきたfH力の重力波特性の変化の議論を行い論文化できた。
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Strategy for Future Research Activity |
重力波の中層大気大循環における寄与の相対的重要性を明確化するため、重力波そのものの研究だけでなく、ほかの大気擾乱の解析も並行して行う予定である。また、重力波に伴う3次元ラグランジュ流の研究に必要な定式化を進める予定である。
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[Presentation] Program of the Antarctic Syowa MST/IS Radar (PANSY).
Author(s)
K. Sato, M. Tsutsumi, T. Sato, T. Nakamura, A. Saito, Y. Tomikawa, K. Nishimura, H. Yamagishi, and T. Yamanouchi
Organizer
IUGG 2011 General Assembly, Melbourne
Place of Presentation
Melbourne, Australia
Invited
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