2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340148
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 以知子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (40211966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 真一 東邦大学, 理学部, 講師 (20378813)
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Keywords | 沈み込みプレート境界 / ウェッジマントル / 地震 / 摩擦 / レオロジー / 岩石変形実験 / 脆性-延性転移 / 蛇紋岩 |
Research Abstract |
本研究の目的は蛇紋岩の流動破壊物性(レオロジー)を解明することにより,沈み込み帯のテクトニクスと地震学的特性の理解に貢献することにある.最近,沈み込み帯の地震学的観測からウェッジマントルが広く蛇紋岩化されていることが示唆されている.これらの蛇紋岩化した領域はプレート境界の巨大地震発生帯よりやや深くに位置し,スロースリップと呼ばれる特異な地震すべり現象の発生域と接しているため,何らかの因果関係が示唆される.蛇紋岩はまた,スラブ内の中深発地震にも関与しているという見方が強まっている.高圧変成帯にみられる蛇紋岩メランジェや断層帯に挟在される蛇紋岩は,蛇紋岩の特異な変形挙動を示唆している.そこで本研究では室内変形実験によって,蛇紋岩の脆性・延性転移挙動を明らかにし,その強度を支配する法則と力学物性パラメータを決定する.初年度は以下の項目を実施した. 1.産業総合研究所において,既設の油圧式透水試験機にサーボ制御システムを装備し,軸圧縮変形試験を可能にした.この試験機では室温,1000気圧(100MPa)までの比較的低圧領域で,大きな円柱試料(直径40mm)をもちいた実験を行なうことができる. 2.東京大学理学系研究科において,固体圧変形試験機における高温下(800℃以上)で変形実験を行なうことができるよう,高圧アンビルと試料アセンブリを改良した. 3.産業総合研究所のガス圧式試験機をもちいて,天然の蛇紋岩試料をつかった定歪速度変形試験を開始した.温度は800℃までの範囲でおこない,蛇紋岩が脱水分解した後の挙動もふくめて調べる. 4.実験で回収した試料の鉱物相をX線回折法によって同定するとともに,走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡で組織を観察した.
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Research Products
(3 results)