2012 Fiscal Year Annual Research Report
線形・非線形分光シミュレーションによる緩和および反応ダイナミクスの解明
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22350013
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
斉藤 真司 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 教授 (70262847)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | エネルギー緩和過程 / 三次非線形赤外分光法 / 水 / 過冷却水 / 励起エネルギー移動 / 複素比熱 / 動的不均一性 / 多時間相関関数 |
Research Abstract |
本課題において、分子動力学計算を利用し、水の分子内運動(OH伸縮とHOH変角)に対する三次非線形赤外分光法の理論計算を進めた。解析の結果、OH伸縮の振動数揺らぎは分子間運動(とくに、水素結合の伸縮運動)により変調されているのに対し、変角運動は伸縮振動と分子間運動(とくに水素結合の変角運動)の影響を受け、OH伸縮振動よりも速い周波数変調を受けていることが明らかとなった。さらに、分子内振動から分子間運動にどのようにエネルギー緩和するのか時定数とともに明らかにした。 光合成細菌における励起エネルギー移動の機構解明に向け、バクテリオクロロフィル(BChl a)の電子状態計算を行った。前年度、既存の汎関数を用いた分子シミュレーションを行い、FMO中のBChl a一分子の電子基底・励起状態を求めたところ、再配向エネルギーを過大評価することが明らかになった。そこで、実験結果のあるメタノール、プノパノール、トリエチルアミンの溶液系におけるQM/MM計算を行った。再配向エネルギーを再現するにはどのような汎関数であるべきかを検討、BChl aの基底・励起状態の記述が可能とする汎関数を決定した。 水の等圧比熱は過冷却状態で急激に増大することが知られている。その分子論的起源を明らかにするために、様々な温度での分子動力学計算を行うとともに、理論的解析を進めた。その結果、温度低下に伴う密度減少により水素結合構造の遅延化と相互作用長の伸張が引き起こされ、この相関運動の出現が比熱の特異的温度依存性と関係していることを明らかにした。 密度揺らぎの多時間相関関数に基づき、いくつかの系に対して過冷却液体の不均一ダイナミクスの寿命の系統的な解析を行った。その結果、動的不均一性の寿命の温度依存性とFragilityの明確な関係性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(11 results)