2010 Fiscal Year Annual Research Report
典型元素の特性を活用した含高周期14族元素縮合多環式芳香族化合物の創成とその機能
Project/Area Number |
22350017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
時任 宣博 京都大学, 化学研究所, 教授 (90197864)
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Keywords | 有機元素化学 / 典型元素 / ケイ素 / π拡張分子 / 芳香族化合物 |
Research Abstract |
二つの含ケイ素芳香環同士の連結により、π共役が発現しうるかを評価するため、1,1'-ジシラ-4,4'-ビフェニル(1)の合成を行った。化合物1の構造はX線結晶構造解析により決定し、二つのシラベンゼン環が45度ねじれた構造をとっていることが明らかとなった。化合物1のシラベンゼン環の構造は同じ置換基を有する知らベンゼンと比べて大きな変化はなく、また連結結合長は1.505(7)Åでありビフェニルの値[1.495(3)Å]とほぼ同等であった。紫外可視吸収スペクトルにおいては、シラベンゼンが最大吸収波長331nm(ε=5000)とする微細構造を保持した吸収を示すのに対して、1は357nm(ε=29000)に幅の広い吸収を示した。この吸収の長波長シフトおよび顕著な吸光度の増大は、溶液状態における二つのシラベンゼン環間のπ共役の存在を明確に示唆している。また理論計算による、ケイ素上に水素原子を有するモデル化合物における二つのシラベンゼン環の回転障壁は5.4kcal/mol[B3LYP/6-31G(d)]と見積もられ、この値はビフェニルの同一条件で行った計算結果2.4kcal/molに比べて大きいものの、十分に室温において自由回転可能であると考えられる値であった。また1は室温溶液における光照射によって青色の蛍光を示し、その蛍光のStokesシフトは90nmと大きいものであった。このことは励起状態における構造変化が大きいことを示唆しており、現在励起状態の検証等、光物性についての検討を行っている。これらの結果は今後の含ケイ素共役系分子設計の重要な指針となると考えられる。
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[Journal Article] Synthesis, Structures, and Reactivity of Kinetically Stabilized Anthryldiphosphene Derivatives2010
Author(s)
Tsurusaki, A.; Nagahora, N.; Sasamori, T.; Matsuda, K.; Kanemitsu, Y.; Watanabe, Y.; Hosoi, Y.; Furukawa, Y.; Tokitoh, N.
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Journal Title
Bull.Chem.Soc.Jpn.
Volume: 83
Pages: 456-478
Peer Reviewed
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