2011 Fiscal Year Annual Research Report
電界誘起電子スピン共鳴法による有機トランジスタ界面トラップ準位の微視的起源の同定
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22360012
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
長谷川 達生 独立行政法人産業技術総合研究所, フレキシブルエレクトロニクス研究センター, 副研究センター長 (00242016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 寿一 独立行政法人産業技術総合研究所, フレキシブルエレクトロニクス研究センター, 主任研究員 (20358261)
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Keywords | 有機トランジスタ / 電子スピン共鳴 / 有機半導体 / 電子輸送 / トラップ準位 |
Research Abstract |
本年度は、前年度行った研究をさらに大きく展開し、有機トランジスタ内のキャリアを局在化させる各種の原因を、電界誘起ESR法を用いて解き明かす手法として確立するため、以下に列挙する研究に取り組んだ。第一に、電界誘起ESR法によるトラップ状態密度分布解析手法の信頼性を確証するため、トラップ状態の空間広がりと状態密度分布を確率的最適化法により求める際の解析の妥当性について検討を行った。その結果、測定データのノイズレベルがESRの主信号の数百分の1に止まるとき十分な精度の解析結果が得られることが明らかになった。第二に、電界誘起ESRの全ての解析の基礎となる孤立分子のESR解析を進め、典型的な9種の有機半導体材料について、分子が陽イオン状態にある場合のgテンソルを密度汎関数理論による数値計算によって得るとともに、溶液中の陽イオンラジカル分子を用いて計算により得られた結果の妥当性を確認した。第三に、多結晶性の有機半導体薄膜では、微結晶のある軸が基板上で一方向に揃った一軸配向性の薄膜が得られることに着目し、基板に対する印加磁場の角度依存性によって、微結晶内・微結晶間のキャリア輸送を分離して測定する手法を開発した。特に磁場が基板に対して垂直な場合に微結晶間のキャリア輸送が支配的となることから、この磁場方向の温度依存性の測定によって微結晶間の障壁ポテンシャルを評価することに成功した。第四に、高移動度低分子材料のDNTT薄膜において、DBTTF分子が微量不純物として混入しキャリアトラップとして作用する様子を電界誘起ESR測定によって観測することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究において当初予定していた微結晶内のトラップ準位の評価・解析に関する手法の確立が順調に成果が得られつつあることに加えて、本年度は、多結晶薄膜内の微結晶間の障壁ポテンシャルを評価する手法を見い出すという画期的な成果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
有機半導体の材料・プロセス・性能は現在日進月歩で進歩しており、これらのデバイスを本研究で開発する評価法の対象として幅広く活用することによって、有機半導体のエレクトロニクス応用を基礎づけるキャリア輸送の微視的理解をさらに進めていく計画である。
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Research Products
(18 results)