2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22360013
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
赤坂 哲也 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主任研究員 (90393735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 秀樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主幹研究員 (10393795)
小林 康之 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主幹研究員 (90393727)
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Keywords | 結晶成長 / 量子井戸 / 光物性 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
従来の窒化物半導体は、SiやGaAs等と比較して結晶欠陥(転位)が多く、また、平坦性が悪いため、量子井戸における量子準位の揺らぎや発光効率の低下が問題であった。そのため、無転位で完全に平坦(ステップフリー)な窒化物半導体のヘテロ界面が望まれていた。本研究では、無転位で1分子層のステップもない理想的なヘテロ界面を有するInN極薄量子井戸を作製し、窒化物半導体を用いた赤色や通信波長帯の発光ダイオードやレーザダイオードの実現を目指す。さらに、学術的な貢献として、窒化物半導体の成長機構の解明、ステップフリーヘテロ界面を有するGaN/InN量子井戸や規則混晶(GaN)m(InN)nの作製と光学物性の評価を行う。昨年度は、転位密度の低いGaN基板を用いて選択成長を行って、GaNのステップフリー面を形成したり、らせん成長や核成長機構を検討したりした。 今年度は、ステップフリーヘテロ界面を有するGaN/InN量子井戸の作製について主に検討した。有機金属気相エピタキシ装置を用いて、大きさが16ミクロンのGaNステップフリー面の表面上へInNを短時間成長し、InNの核形成の様子を原子間力顕微鏡やオージェ電子分光装置等により検証した。次に、GaNステップフリー面上のInN層にGaN層をさらに成長することにより、GaN/InN量子井戸構造を作製した。さらに、GaN/InN量子井戸の発光特性を顕微フォトルミネッセンス装置を用いて検証した。 日本結晶成長学会誌に論文が掲載された。第3回窒化物半導体結晶成長講演会において、表面過飽和度制御によるGaNステップフリー面の形成について招待講演を行った。また、国際会議2件、および、国内会議1件の口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、低転位密度GaN基板を用いた選択成長法により、GaNおよびInNの2次元成長機構の解明を行った。さらに、InR/GaN量子井戸を作製し、その発光特性を顕微フォトルミネッセンス装置で評価した。これらは、当初の研究計画調書においても平成23年度までの計画として予定されていた内容であり、おおむね計画どおりに遂行することができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで順調に研究が進展しており、また、研究を遂行する上での問題点は特に存在しない。 今後は、具体的には次のように研究を進める予定である。まず、InN/GaN量子井戸の成長条件を最適化することにより、InN量子井戸層の厚さ(分子層数)を変化させ、量子サイズ効果による発光波長の制御を行う。この時、InN井戸層とGaNバリア層の間をステップフリー界面とすることにより、InN井戸に形成される量子準位のエネルギー分布をシャープにし、単色性の高い発光を目指す。さらに、GaN層の成長時にシランガスや有機マグネシウム原料などを導入してドーピング制御を行う。そして、InN/GaN量子井戸を活性層とする発光ダイオードの作製を行い、電流注入発光を狙う。
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