2011 Fiscal Year Annual Research Report
結晶表面の原子ステップの位置・構造制御と原子・分子修飾
Project/Area Number |
22360015
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山部 紀久夫 筑波大学, 数理物質系, 教授 (10272171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓮沼 隆 筑波大学, 数理物質系, 講師 (90372341)
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Keywords | 単結晶 / 表面 / テラス / 原子ステップ / エッチング / 三角ピット / インデンテーション / 損傷 |
Research Abstract |
原子的平坦なSiテラスへのナノインデンテーションによるステップの発生の研究において、インデンテーション後の低溶存酸素水処理によって、三角ピットが発生する。三角ピットの形状等の詳細な観察から、以下のことが明らかとなった。三角ピットの各辺は、Siの<1,1,-2>と等価な3つの結晶方位に垂直である。発生する三角ピットは、同一の中心を有し、低溶存酸素水への浸漬時間とともに、ステップフローエッチングが進行し、各辺の長さが伸張する。これらの形状変化から、ステップの発生が、インデンテーションによるものであることが明らかである。つぎに、浸漬時間に対するステップフローエッチング距離との関係から、ステップフローエッチング速度が2段階で進行することが明らかとなった。つまり、浸漬時間が1時間程度までは、比較的高速にエッチングされ、1時間以降は減速されるが一定の速度を有する。 以前の研究では、直線的にステップのステップローエッチングは、溶液中の酸素ラジカルによるステップ端へのアタックによるとされ、短い場合にはアタック頻度が低いため低速で、長くなるにつれアタック頻度が上がり徐々に早くなることがわかっている。今回は、初期のステップ長が短い領域で早くなっていることから、インデンテーション固有の機構が作用している。つまり、インデンテーションによる凹みや盛り上がり等の極微細な形状変化およびその周辺の結晶表面近傍の損傷がステップフローを促進していると考えられる。一方、後半の領域の主要因として、上記の溶液中の酸素ラジカルと、三角ピットコーナーのキンクの2通りが挙げられる。 また、インデンテーション時のプローブにかかる負荷と三角ピットのステップ数が比例関係にあることが明らかとなり、低負荷インデンテーションにより、数原子層まで発生ステップ数を減少させることができたが、単一ステップに留めるには至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Si表面での原子ステップ制御の一環として、予め決められた位置に原子ステップを発生させる技術を調査した。数μN程度の軽微なインデンテーションをSi表面に行うことにより、その後の低溶存酸素水浸漬で、単原子層高さの原子ステップからなる三角ピットを発生させることに成功し、低負荷により、数原子層の原子ステップを発生させる技術を構築するに至った。今後は、原子ステップの修飾法をCu以外への展開を加速する。
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Strategy for Future Research Activity |
原子ステップ制御と原子修飾の融合および、Si以外結晶表面でのステップ制御およびその修飾を進める。一方、ステップ端の分子・原子修飾において、原子ステップあるいは原子テラスが、その段階でどのように影響を受け、変化するかを把握する必要性が高くなってきたため、種々の薄膜の被着あるいは熱処理等での被着膜の構造変化の過程での原子ステップおよび原子テラスがどのように変化するかを、評価法の構築を含めて、解析していく。
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