2011 Fiscal Year Annual Research Report
高強度非球面金型の超精密切削を可能にするためのナノ粒子潤滑揺動切削法
Project/Area Number |
22360055
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
閻 紀旺 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40323042)
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Keywords | 超精密切削 / 金型加工 / 工具摩耗 / ナノ粒子潤滑 / ダイヤモンド工具 / 硬脆材料 / 非球面 / 光学部品 |
Research Abstract |
本研究の目的は,高強度金型材料の超精密切削加工を実現させることである.平成23年度では,切削におけるナノ粒子複合潤滑の原理究明ならびにその最適化を行った。具体的には,下記の諸項目について検討を行った. (1)切削油剤作成および塗布技術の開発 切削油剤として,高粘性・高付着力のグリースに金属ナノ粒子を混入させてバイトの表面に塗布した.バイトの揺動によりバイト表面に塗布された切削油剤が容易に切削点へ進入し,被削材とバイト表面との間に潤滑膜が形成されると考えられる.本研究では,グリースへの金属ナノ粒子の混合・攪拌方法,濃度制御およびバイト表面への塗布方法および塗布量の制御などについて検討を行った. (2)金属ナノ粒子の種類および濃度の最適化 切削時に,金属ナノ粒子の塑性変形により被削材から切れ刃へ与える微小衝撃が緩和され,切れ刃のマイクロチッピングを抑制できる.また,金属ナノ粒子の優れた潤滑作用によりバイト・被削材間の摩擦係数が大幅に低減されるため,切削抵抗およびバイト刃先の摩耗も抑制できると考えられる.本研究では,数種類の金属ナノ粒子およびグラファイト粒子を用いて切削実験を行,粒子サイズと濃度を変化させて,最適な切削潤滑条件を特定した. (3)揺動切削における材料除去機構の研究 本研究で提案した複合潤滑揺動切削法における材料除去機構を究明するために,高硬度材料である反応焼結SiCの揺動切削実験を行い,切りくずと切削面の観察を行った.その結果,流れ型の切りくずおよび延性モード切削面が確認できた.また,バインダーレス超硬合金(WC)の切削実験も行い,類似の加工現象を確認した. 以上の成果は,今後の非球面レンズプレス成形用金型の超精密切削加工の実現に対して有用な情報提供できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ粒子潤滑剤の作成方法の研究や切削実験および実験現象の観察,加工機構の解明ならびに最適化など主要な研究内容は,ほぼ当初計画の通りに進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として,まず,これまでの基礎研究成果をガラス非球面レンズプレス成形用金型の切削加工へ応用し,バイト摩耗低減および加工精度向上への効果を確認する.そして揺動切削の加工原理を解明するために有限要素法による切削領域の温度分布シミュレーションを行う予定である.
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