2011 Fiscal Year Annual Research Report
小型蒸気発生器における燃焼/水管内沸騰流の動的連成とシステムの安定化
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22360092
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小澤 守 関西大学, 社会安全学部, 教授 (60112009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 亮介 関西大学, システム理工学部, 准教授 (50268314)
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Keywords | 管状火炎 / 蒸気発生器 / 熱伝達 / 燃焼 / 沸騰 / 過熱蒸気 / 熱交換器 / 旋回流 |
Research Abstract |
本研究は,特別の保炎機構を持たない管状火炎燃焼器を用いた,新方式の低NOx/CO超小型蒸気発生器の開発を通して,燃焼による発熱と水管による抜熱・蒸気発生・管内沸騰流の動的練成(相互干渉)機構について理論的実験的に解明し,状態予測のための動的モデルの構築,さらに蒸気発生器全体のシステム安定化最適化を図る. 平成22年度の研究結果より,蒸発量は所定の90cc/minを実現することができたが,過熱蒸気温度は約200℃と当初の目標の350℃より低く,また安定した蒸気温度とならなかった.これは,蒸発部でのプール沸騰で発生した液滴が過熱管に流入したためである.そこで安定した過熱蒸気の発生を目指し,蒸発部内への汽水分離構造の設置,および過熱部の熱伝達率の評価を行った. 汽水分離については燃焼管と蒸発部の中心軸を偏心させることにより蒸発部上部に空間を設け,過熱管内への水滴の侵入を避ける構造とし汽水分離に成功した. 過熱部の伝熱は,管外側の燃焼ガスおよび管内側の蒸気流の双方の熱伝達に依存するため,実験装置を別途作成し,管外側および管内側のそれぞれの影響を調べた.その結果,蒸気が流れる管内側の熱伝達率の低さから,蒸気側の熱伝達が過熱部の伝熱が律速していることが判明した.このことは過熱蒸気出口温度の設定には,燃焼量,蒸発量,蒸発部や過熱管の熱伝達など過熱蒸気発生器全体の燃焼・伝熱練成問題を総合的に解析する必要となる. また,燃焼管の炉筒面の熱伝達特性を評価した.炉筒面の熱伝達率は,旋回流を伴わない円管の熱伝達率に比べ,約5倍の値を示し,燃焼ガスの軸方向速度のレイノルズ数およびバーナ部からの軸方向距離の関数として熱伝達率を算出することができた.以上の研究結果により管状火炎の燃焼ガスからの伝熱特性が明らかとなったため,今後,超小型管状火炎蒸気発生器の燃焼と伝熱の練成問題の解析を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度で過熱蒸気発生器の試作機が完成し,蒸発量90cc/min,過熱蒸気温度180℃,排気NOx濃度4.8ppm(0%0_2換算),CO濃度48ppmを実現した.高温の燃焼ガスにさらされる炉筒面,過熱管での熱伝達率について明らかにした.これらのデータは,今後,過熱蒸気発生器全体の燃焼と伝熱の熱バランスを解析する基礎資料となる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度のまでの成果により,管状火炎蒸気発生器での各部の伝熱特性,燃焼特性が明らかとなった.特に,過熱部熱伝達は蒸気流速に強く依存しているため,燃焼器や蒸発部,水予熱などの単独要素の性能向上だけでは,当初の開発目標を達成することができないことが明らかとなった.よって今後は,これまでに明らかとなった伝熱特性,燃焼特性を組み込んだ管状火炎蒸気発生器の熱バランス解析モデルを構築し,当初の研究目標を達成する.
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Research Products
(4 results)