2010 Fiscal Year Annual Research Report
高純度化・組織制御を用いた微細粒等方性厚膜磁石の開発と高トルク小型モータへの応用
Project/Area Number |
22360129
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中野 正基 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (20274623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 博俊 長崎大学, 工学研究科, 教授 (10136533)
板倉 賢 九州大学, 総合理工学研究科, 准教授 (20203078)
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Keywords | 厚膜磁石 / PLD法 / 等方性磁石膜 / 保磁力 / 添加物 / 高トルク小型モータ / 高成膜速度 / 多極着磁 |
Research Abstract |
当該年度は、「高真空成膜装置」を設計・構築した後、PLD (Pulsed Laser Deposition法)を用いた等方性Nd-Fc-B系厚膜磁石の作製を試みると共に、その磁気特性・組成の評価ならびに結晶構造・微細構造を観察した。 (1)高真空成膜装置の構築と試料作製 既存の成膜装置に比べ真空度を10^<-2>Torr以上向上させたものを構築することにより、成膜時の酸化を抑制可能となり、化学量論組成もしくはそれ以下のNd含有量を有する試料においても保磁力が数100kA/m程度の硬磁気特性を示すことを確認した。加えて、Nd含有量を低減させることが可能となったため、残留磁化の向上も併せて実現し、既報の平均値である0.65Tを超える0.7T程度の値を再現性良く得られた。 (2)Cu添加による保磁力向上 上述した試料においては、Nd含有量の低下に伴い残留磁化は向上できたものの、小型モータへの応用を鑑みると、「動作点の確保」ならびに「熱安定性」の観点より更なる保磁力の向上が望まれる。そこで、上記の装置を用いた試料の作製において、Nd-Fe-B粒界層に偏在し、保磁力の向上に有効であるCuの添加を試みた結果、0.5at%程度の適度な添加により、残留磁化を損ねることなく、保磁力が100kA/m程度向上できる事を確認した。 (3)電子顕微鏡を用いた微細構造観察 対象となる試料が数10μm厚程度の厚膜試料であるため、広い範囲での断面観察が必要となる。そこで、当該年度では、観察用試料の作製準備としてTaバッファー層を施したSi基板上に成膜し、上記と同様な磁気特性を得られる条件を探索した。熱処理条件ならびにバッファー層の最適化については、引き続き検討を進める予定である。 (4)マイクロマグネティクス理論を用いた磁気特性解析 (2)で示したCu添加試料の保磁力値は向上するものの、角型性が低下すなわち保磁力が幅広く分布する様子が見られた。粒界層における保磁力劣化層と上記の保磁力分布の関連性を計算機解析により検討した。
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