2011 Fiscal Year Annual Research Report
線状地下構造物に対する縦断方向の耐震性能評価手法の開発とその設計への適用
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22360178
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清野 純史 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (00161597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮島 昌克 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (70143881)
鈴木 崇伸 東洋大学, 理工学部, 教授 (50256773)
酒井 久和 広島工業大学, 工学部, 准教授 (00360371)
五十嵐 晃 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80263101)
野津 厚 (独)港湾空港技術研究所, 主任研究官 (60371770)
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Keywords | 地下構造物 / 縦断面 / 耐震設計 / 耐震性能評価 / 入力地震動 / シールドトンネル / 微動調査 / ライフライン被害 |
Research Abstract |
本研究の目的は,横断面に比して整備が遅れていた地下構造物の縦断方向の耐震性能評価法を確立し,物理的根拠を明確にした縦断方向設計法を提示することである.平成23年度に実施した研究は以下の通りである. (1)地震動空間変動を考慮した入力地震動のモデル化 前年度に検討した地震動の空間的な分布特性を反映させるための方法論に従った入力地震動を地盤震動解析に適用し,実務設計を念頭に置いた入力地震動の設定法を検討した.内陸地殻内地震によるやや短周期地震動の再現に適した震源のモデル化手法について検討を行なうとともに,東北地方太平洋沖地震によって被害を受けた港湾において微動観測,余震観測,地震動の事後推定などを実施した.さらに,東北地方太平洋沖地震の際に観測された強震動パルスを再現することのできる運動学的震源モデルの開発を行った. (2)地盤動特性が地下構造物の地震時挙動に与える影響の定量評価 地盤の不整形性に着目し,不整形地盤中の線状構造物の耐震設計に必要な地盤変位・ひずみ分布の簡易推定を行った.有限要素解析を実施して,トンネル設置深さにおける軸方向・軸直角方向の地盤変位分布を求め,不整形性が地盤変位分布にどのような影響を与えるのかを調査し,簡易推定に活かすための方法論を提示した.また、インドネシア・パダン市の埋設ライフラインネットワークの耐震性能評価に必要な地盤の地震動増幅特性を常時微動観測と有限要素法解析により求めた. (3)地震による地下構造物の影響評価 立坑に接続されたシールドトンネルを想定し,3次元有限要素法によって動的解析を行い,立坑を有するシールドトンネルの地震時挙動について検討した.また,軸直角方向に振動する場合は,シールドトンネルの回転変形と立坑のロッキングにより生じるねじれ応力を,軸方向の振動に対しては軸応力を評価し,その発生メカニズムならびに影響について考察した.また、下水道管路の更生工法の新工法として、土圧等の外圧に耐える高剛性部と地下水や土砂の浸入を防ぐライニングを備えた構造の自立管を考案し,実験と解析により検証を行った. (4)地下構造物の地震被害と軽減対策 東日本大震災における上水道埋設管の被害データを収集・分析した.地盤震動そのものよりも地盤変形による被害が顕著であることが示された.軟弱地盤といわれる北海道浦河町の泥炭地盤を対象にして,表層地盤のS波速度構造を探査によりモデル化を行い,FEM解析によって地盤ひずみが大きくなる場所の特定,ならびに泥炭地盤が作用している程度を明らかにした.本解析結果と過去のライフライン被害との関係について比較を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,(1)入力地震動の空間分布特性の解明,(2)地下構造物の縦断方向地震時挙動・耐震性能の把握,(3)耐震性能を考慮した設計法の開発,そして(4)縦断方向の地震対策の提示,を4つの大きな柱とし,地下トンネルや各種ライフライン管渠等の線状地下構造物長手方向の耐震設計法と地震対策を提案することを目標としている.このうち,(1),(2)については順調に進展しており,(4)についても東日本大震災の被害調査や収集データを基にした分析や,耐震性を有する管路の実験等も行っているため,問題はない.設計法の提案に関しては,現状では資料収集が中心となっているが,これまでの成果を勘案して24年度にまとめる予定である.全体としておおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように,研究は当初予定通り順調に進展しているため,研究計画を大きく変更することはない.今後の力点の置き所はは,耐震性能を考慮した縦断方向の耐震設計法の開発であり,これまでの成果をまとめながら,計画を遂行していく予定である.
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Research Products
(14 results)