Research Abstract |
平成22年度の実施計画は,1)改修の必要な空間構造物の抽出および現在までに提案してきた応答制御手法の適用性の検証,2)アクティブな応答制御技術を応用した応答制御手法の提案,3)縮小模型を用いた振動台実験によるアクティブな応答制御技術の適用性の検証であった。 1)については,1970年代に建設された山形トラス構造の体育館を改修の必要な空間構造物として抽出し,この構造物への応答制御手法の適用性について分析した。応答制御手法として,弾塑性ダンパーおよび粘性ダンパーを下部構造に付加した。また,比較のため強度型補強したモデルも対象とした。その結果,上記の応答制御手法により応答低減を図ることができ,その応答値についても精度良く評価することができた。2)については,基本的な空間構造物であるアーチ構造物を対象として検討を進めた。アクティブな制御手法としては様々な手法が存在するが,ここでは空間構造物の適用性を考慮し,最適制御理論を採用した。解析には,MATLAB7.10.0を使用した。ここでは,制御力の種類,制御力入力位置,制御力数等についてパラメトリックに分析を行い,その結果,制御対象モードの腹に曲げモーメントを入力することで効率の良い応答制御が可能であることが得られた。3)では,2)の分析で得られた結果の検証および応答制御の具体化を目的として振動実験を実行した。対象はスパン1500mmのアーチ構造物である。制御に用いるアクチュエータとして圧電フィルムを採用した。その結果,数値解析では発生しない各装置での遅延時間により,制御する応答は1または2周期遅れた応答となることが明らかとなった。しかし,正弦波入力では約50%に,地震波入力では最大約70%応答を低減することができた。平成23年度も振動台実験を継続し,明らかとなった課題の解決に努める。
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