2011 Fiscal Year Annual Research Report
台風・竜巻等のスーパー突風による建物の風荷重の増大インパクト
Project/Area Number |
22360230
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 潤滋 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (40128088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友清 衣利子 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教 (30346829)
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Keywords | 風力のオーバーシュート / 非定常風力 / 突風 / 風洞実験 / 数値流体解析 / 強風観測 / 強風被害 |
Research Abstract |
1.突風時に風洞内に発生する圧力勾配に対処するために、圧力孔を物体表面測定点と同じ位置に配列した「ピトー孔アレイ板」を開発し、突風下での物体表面圧力の計測方法を確立した。 2.「ピトー孔アレイ板」を使用して、突風を受ける陸屋根試験体の屋根面と壁面の各部位での表面圧力分布を計測して、表面圧力のオーバーシュート現象をパターン化し、試験体寸法や突風風速特性で構成した新たな無次元パラメータでの分析を完了した。 3.一定風速からの突風生成が可能になるように、突風風洞を調整し、その基本特性を整理した。 4.一定風速からのオーバーシュート風力に関する実験データの収集と整理を行い、無風時からの突風による風力増大現象との比較分析を行った。初期風速が存在する場合は、無風時からの突風に比べてオーバーシュート現象は小さくなるが、突風風速の50%ぐらいまでの初期風速では、無風時からの状況とそれほど差がないことがわかった。 5.これまでの実験結果を数値流体解析法で分析し、流体理論面からの風力増大現象を以下のように解明した。突風が試験体に作用した直後には、ポテンシャル流での圧力場が生成され、引き続いて後流域において定常時より大きな渦が生成され、これに伴う圧力域の大きさがオーバーシュート発生の主因であることを解明した。 6.九州での広域強風観測記録を利用して、構造物にオーバーシュート現象が発生する突風を選出し、台風時と非台風時の突風風速値と風速立ち上がり時間のパターン分析を完了した。 7.実験結果の実構造物への利用のための無次元パラメータの整理分類を行い、突風の立ち上がり状況を考慮した突風表現の定式化を行い、突風による増大風力を受ける構造物の大きさをパラメータに含む無次元表現法を工夫した。この無次元パラメータによって、各サイズ模型の実験結果を一元的に整理できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
圧力勾配がある風洞内計測のための「ピトー孔アレイ板」の開発が予想以上に迅速に進んだため、申請時計画で「陸屋根模型」に留めていた圧力測定実験を、次年度に予定していた「切妻屋根模型」に関する実験にも着手できたこと。また、未発表であるが、九州内で観測された突風記録の情報整理が大幅に進捗したことなど。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の目的に沿った計画が進んでおり、今後特に変更する点はない。最終年度の平成24年度では、各種模型での実験結果を総合的に精査して、構造物の形状別にオーバーシュート現象に関する情報を整理する。また、風洞実験結果の数値流体解析も順調に進んでいるが、流体解析時のメッシュサイズの解像度が計算結果に及ぼす影響をさらに調査する必要がある。さらに、実観測突風の情報分析から得られた結果を実際の災害状況との関連での視点で再整理したい。
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Research Products
(9 results)