2010 Fiscal Year Annual Research Report
鉄筋コンクリート造柱の地震時軸耐力喪失過程と建物の倒壊リスクに関する動的検証
Project/Area Number |
22360232
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中西 三和 日本大学, 理工学部, 教授 (40147690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 洋 日本大学, 理工学部, 教授 (40059928)
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Keywords | 耐震診断基準 / 第2種構造要素 / せん断破壊 / 残存軸耐力 / 長周期地震動 / 軸耐力喪失 / 静的載荷実験 / 動的載荷実験 |
Research Abstract |
本年度は2つのシリーズの実験的研究を行った。シリーズ1は、これまで先行研究として実施してきた既存鉄筋コンクリート(以後、RC)造柱の耐震診断基準における第2種構造要素の評価基準となる靭性指標と残存軸耐力の関係を補完するためのせん断破壊型柱試験体2体を用いた静的及び動的実験である。シリーズ2の実験は、高層RC造建物に被害を及ぼすことが危惧されている長周期地震動下での軸力喪失過程を調べるための静的及び動的実験であり次年度以降の研究方針を決定するためのパイロットテストとして位置付けた。いずれのシリーズにおいても、試験体は静的・動的一対として実験を行った。シリーズ2の実験は、シアスパン比1.5で曲げ耐力とせん断耐力が拮抗する試験体一対、シアスパン比2.0の曲げ破壊型の試験体に軸力比0.3(長期軸力)と0.6(高軸力)を負荷した試験体を各一対、計6体の試験体を対象とした静的及び動的実験である。実験結果から以下の知見が得られた。 シリーズ1の結果の要約 ・せん断破壊する柱では同じF値に対する残存軸耐力には、静的載荷実験と動的載荷実験のせん断破壊の程度に左右され、大きな差異が生じる可能性がある。載荷方法に係らない安全側の評価が望ましい。 シリーズ2の結果の要約 ・全ての試験体において動的効果により耐力の上昇が確認された。 ・静的載荷実験では大変形に至るまで、軸変位が増大しても定軸力を保持していた。しかし、動的載荷実験では最大耐力後の変形の増大に伴って急激に軸力支持能力が低下する傾向がみられた。 平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では、首都圏の高層建物が長周期地震動の洗礼を受けた。本研究テーマの重要性が確認されたといえる。
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