2010 Fiscal Year Annual Research Report
レミニセンス(回想法)を導入した認知症高齢者居住環境における感覚誘導システム構築
Project/Area Number |
22360256
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
田中 直人 摂南大学, 理工学部, 教授 (60248169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 啓 和歌山大学, システム工学部, 教授 (50140249)
後藤 義明 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (70461209)
古賀 紀江 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (10295454)
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Keywords | 記憶方式 / 情報システム / 都市計画・建築計画 / 人間生活環境 / 認知科学 |
Research Abstract |
研究の成果(具体的内容) 本研究では、超高齢化の本格的進行に伴い、緊急課題とされる高齢者の生活環境改善の実現に向けて、これまでの「五感を活用したわかりやすさに関する研究および設計手法」の検討に加え、「"レミニセンス(回想法)"を導入した認知症高齢者の空間認知性を高める感覚誘導システム」を構築することを目的としている。初年度の平成22年度では、認知症高齢者の空間認知性を高めることにつながると思われる既往研究や施設事例、種々の取り組みについて幅広く調査し、今後の調査研究への条件整理や基礎的知見の整理につなげた。 (1) 既往の研究成果の体系的整理 学会等の刊行物、大学研究紀要、国立国会図書館のデーターベース等、学術論文情報を対象として検索し、研究の全体的な傾向や成果内容を分析・考察し、認知性向上手法の要素と種類に関する現状把握とその整理に重点を置いた。学会等で今後、発表する予定である。 (2) 国内外のレミニセンス導入の事例調査および要素抽出 イギリス、デンマーク等の国内外の高齢者やレミニセンス、誘導システム等の施設事例を対象に現地調査および施設関係者や入居者等にヒアリング調査を行った。レミニセンス事物より抽出した要素から"感覚刺激"として空間要素に置換し、感覚誘導システムの基礎となる「空間部位アイテム」として整理し、次年度の検証実験に導入する予定である。 今年度の調査から、レミニセンスの有用性や認知症高齢者に限定せず、「スヌーズレン」等の感覚を刺激する環境デザインの試みとその効果が多く確認できた。また、種々の生活施設における認知症高齢者の問題行動やその対処事例に誘導システムにつながる内容を抽出することができた。次年度以降の研究で、従来の居住施設にはなかった「わかりやすさ」と「居心地良さ」を兼ね備えた高齢者生活環境の実現に期待できる空間認知性を高める感覚誘導システムの構築につなげていきたい。
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Research Products
(12 results)