2011 Fiscal Year Annual Research Report
レミニセンス(回想法)を導入した認知症高齢者居住環境における感覚誘導システム構築
Project/Area Number |
22360256
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
田中 直人 摂南大学, 理工学部, 教授 (60248169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 啓 和歌山大学, システム工学部, 教授 (50140249)
後藤 義明 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (70461209)
古賀 紀江 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (10295454)
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Keywords | 記憶方式 / 情報システム / 都市計画・建築計画 / 人間生活環境 / 認知科学 |
Research Abstract |
研究の成果(具体的内容) 本研究では、超高齢化の本格的進行に伴い、緊急課題とされる高齢者の生活環境改善の実現に向けて、これまでの「五感を活用したわかりやすさに関する研究および設計手法」の検討に加え、「"レミニセンス(回想法)_"を導入した認知症高齢者の空間認知性を高める感覚誘導システム」を構築することを目的としている。平成23年度では、最終年度の提案につながる、高齢者を対象とした意識調査や画像実験、部分モックアップ等の各種調査・実験を実施し、その分析を行った。 (1)レミニセンス事物に関する意識調査 初年度に実施した既往研究結果を整理した内容や、国内外の事例調査から得た「レミニセンス事物」をベースに、高齢者居住施設の入居者および通所サービスを受けている高齢者(認知症でない)を対象に、生活の場面で懐かしさを感じる「レミニセンス事物」について意識調査を実施した。その結果から、より多くの人に懐かしさを与える「レミニセンス事物」の抽出ができた。 (2)誘導要素の効果に関する画像実験の実施 高齢者居住施設の入居者および通所サービスを受けている高齢者(認知症でない)を対象に、直感的に誘導を誘発する要素について、画像実験を実施した。5パターンの誘導要素をCGで再現し、モニターを使って、被験者が直感的に「行きたいと思う方向」へ操作レバーを使い移動してもらう方法をとった。その結果から誘導を誘発させる空間要素を確認することができた。 (3)部分モックアップ検証の実施 (1)(2)から得た結果を元に、特別養護老人ホームの居室入り口、トイレ入口、階段室入口等に、レミニセンス事物を設置し、入居者である認知症高齢者に対し、迷い行動を軽減させることができるのかどうかについて、1ヶ月間の部分モックアップ検証を実施した。ここで得た結果や課題等にもとづき、最終年度実施予定のモックアップ検証(本実験)につなげることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本調査の目的である「レミニセンス事物を導入した感覚誘導」に必要な要素の方向性が、本年までに抽出することができた。そして、最終年度に実施予定のモックアップ検証(本実験)の予備検証ができた為、本実験ではより有効なデータ抽出および提案が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)調査・実験の対象が認知症高齢者およびその居住施設であるため、プライバシー保護の観点から協力施設が限られてくること。 (2)調査・実験の対象が認知症高齢者およびその居住施設であるため、モックアップ(実物大模型)の安全性にかなりの配慮が必要となり、モックアップで再現できる内容や範囲が限られることが予想される。
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Research Products
(5 results)