2012 Fiscal Year Annual Research Report
精密に構造制御した酸化物磁性体薄膜の合成とスピン機能の創出
Project/Area Number |
22360273
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 勝久 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80188292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 晃司 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50314240)
村井 俊介 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20378805)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 磁性体 / 薄膜 / 酸化物 / 磁気光学 / スピントロニクス / マルチフェロイクス / 気相合成 / 電子構造 |
Research Abstract |
本研究は酸化物磁性体薄膜を対象に、磁性イオン周辺のサブナノ構造を制御し、また、原子レベルで平滑な薄膜を合成することによって、短波長磁気光学、スピントロニクス、マルチフェロイクスの分野に関連した新物質・新材料を開拓し、新規スピン機能を持つデバイスへ展開すること目的としている。最終年度はマルチフェロイクスの分野で特に成果が得られた。ペロブスカイト型構造をもつEuZrO3とEuHfO3について、Bサイトの酸素八面体の回転と結晶構造ならびにBサイトのd軌道を介したEu2+間の反強磁性相互作用についてハイブリッド・ハートリー・フォック密度汎関数法を用いた理論計算に基づく考察を行い、安定相が斜方晶となるこれらの化合物に対して正方晶を準安定相として得ることができれば、それらは強磁性を示すことを予測した。すなわち、酸化物ではめずらしい強磁性体となりうる新規化合物を提案することができた。磁気光学(ファラデー効果)の観点では、ミストCVD法を用いてシリカガラス基板上に比較的低温で多結晶Y3Fe5O12薄膜を蒸着することに成功した。得られた薄膜は可視域で大きなファラデー効果を示した。さらに、マルチフェロイック材料となりうる六方晶YFeO3薄膜をミストCVD法で合成できる条件も明らかにした。スピントロニクス関連では、FeTiO3-Fe2O3系磁性半導体薄膜ならびにバルク結晶の合成を行い、X線磁気円二色性ならびに硬X線光電子分光に基づいて固溶体の電子状態を解析し、Fe2+に由来する磁気異方性や、Fe2+とFe3+の間で起こる電子移動に関する知見を得た。FeTiO3-Fe2O3系についてはトンネル磁気抵抗素子の試作も進めた。また、パルスレーザー堆積法によるEuNbO3薄膜の合成に成功し、この化合物が遍歴電子に基づく強磁性を示すことを見いだした。この物質は新たなスピントロニクス材料として期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)