2010 Fiscal Year Annual Research Report
航空機用先進複合材料の成形プロセスに関するマルチスケールモデリング
Project/Area Number |
22360352
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡部 朋永 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50344164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 雅章 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60512085)
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Keywords | 分子シミュレーション / 界面 / 応力伝達 / クロスリンク / 繊維破断プロセス |
Research Abstract |
1.官能基の結合密度と結合長変化に伴う界面結合構造変化に関する分子シミュレーション(計算) 複合材料においては繊維・樹脂界面における応力伝達が力学特性の良否を左右する。この部分に強固な結合をもたせるためには、充分な長さと密度のクロスリンクが必要となると考えられている。クロスリンクとは繊維表面から生えた樹脂のひげのようなものであり、繊維とは共有結合にてつながれている。この共有結合を得るために、通常の繊維表面には官能基を付与し、分子間の結合力を高め、樹脂を吸着させる。このように十分に樹脂密度が高い状態では、樹脂による化学反応が生じ、共有結合が生じる。このたがいに吸引する力こそ濡れ性といわれるものであり、これが界面の良否に直結する。本研究では古典分子動力学と分子軌道法を組み合わせることで界面の反応プロセスをモデル化し、分子レベルから繊維・樹脂間の界面結合性および硬化特性について議論した。 2.異なるサイジング剤が塗布された繊維に対する樹脂の濡れ性に関する実験的評価(実験) CFRP界面には強固な吸着を得るために、サイジング剤による特殊な化学処理がなされている。このサイジング剤にはいくつかの種類があり、これにより界面の特性が変化する。このサイジング剤の違いと界面の濡れ性との関係について、単繊維強化複合材料の破断過程をもとに検討を進めた。界面が強固な場合には、破断数が岡部・武田モデルと一致し、脆弱な場合、界面の応力伝達が不十分で、破断数がきわめて少なくなる。また、現在は、サイジング剤による破断数変化だけでなく、繊維を多湿な条件下に暴露し、特性を変化させたときの濡れ性についても検証を行っている。さらに、十分に強固な繊維・樹脂界面が得られた際の、積層板等における巨視的な横方向破壊および衝撃破壊特性についても有限要素法・SPH法を駆使し、検討を行っている。
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Research Products
(3 results)