2010 Fiscal Year Annual Research Report
形態と遺伝子から解明する近世アイヌ集団の起源と成立史
Project/Area Number |
22370088
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
篠田 謙一 国立科学博物館, 人類研究部, グループ長 (30131923)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 登 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (60282125)
百々 幸雄 東北大学, 医学研究科, 客員教授 (50000146)
梅津 和夫 山形大学, 医学部, 准教授 (10091828)
近藤 修 東京大学, 理学研究科, 准教授 (40244347)
|
Keywords | アイヌ / DNA分析 / 形質人類学 / 系統 / 成立史 |
Research Abstract |
計画の初年度である本年は、まず全国の大学にどのくらいの数のアイヌ人骨が収集されているかの実地調査を行った。その結果、全国の7大学に1500体以上のアイヌ人骨が収集されていることが明らかとなった。また、それらの人骨の保管状況や部位別の保存状態についても調査した。更に伊達市の噴火湾文化研究所には、2006-2007年度に調査発掘された有珠4遺跡出土の近世アイヌ人骨が23体分保管されていることも判明した。 それを受けて、本年度は札幌医科大学と噴火湾文化研究所の近世アイヌ人骨から形態とDNAの基礎データの集積を行った。札幌医科大学には239個体の近世アイヌ人骨が保管されている。事前の予備的な調査野結果、これらの個体の中でDNA分析に適していると判断されたのは89個体であった。そこで研究計画の開始にあたって、これらの人骨からDNA解析用のサンプルとして歯を1本ずつ採取した。これらのサンプルからDNAを抽出し、ミトコンドリアDNAのD-ループ領域の塩基配列とコーディング領域のSNPから各個体のハプログループを決定する作業を進めた。その結果、現時点でほぼ全ての個体のDNA情報を収集することができ、近世アイヌの遺伝的な特徴についての情報を得ることができた。また噴火湾文化研究所が所蔵する有珠4号遺跡の人骨1体(20号成人男性)は形態学的根研究によって脊椎カリエスに罹患していることが明らかとなった。この人骨は火山灰の分析から1640-1663年の間に埋葬されたことが判明しており、結核の北海道への分布拡大の実態を知るための重要な証拠となることが明らかとなった。 更に、平成23年に繰り越した費用を使い、この有珠4遺跡出土の人骨のDNA分析と札幌医大の残りのサンプルの分析を進めた。
|
Research Products
(11 results)