2012 Fiscal Year Annual Research Report
形態と遺伝子から解明する近世アイヌ集団の起源と成立史
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22370088
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
篠田 謙一 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, グループ長 (30131923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅津 和夫 山形大学, 医学部, 准教授 (10091828)
近藤 修 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40244347)
百々 幸雄 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (50000146)
安達 登 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (60282125)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 近世アイヌ / ミトコンドリアDNA / 系統分析 / 形態小変異 / 成立史 / 古代DNA分析 |
Research Abstract |
北海道の先住民集団であるアイヌの形成史は、日本列島集団の形成を考える上でも重要で、近世アイヌ人骨についてはこれまでも多くの形態学的な調査研究がなされてきた。しかし現在に至るまで、近世アイヌ人骨を対象とした集団遺伝学的な研究は存在せず,その遺伝学的な実体については知られていない。そこで本研究では、本土日本人との混血の影響を受けていない近世アイヌ人骨の形態および遺伝学的な研究を統合し、未だその実像が明確ではないアイヌ集団の成立史を明らかにすることを目的とした。 計画の最終年度である本年は、これまで分析を続けていた札幌医科大学所蔵の人骨に加えて、伊達市噴火湾文化研究所が所蔵する近世アイヌ人骨を対象としてDNAを抽出し、最終的に100体からDNA情報を得ることが出来た。その結果、近世アイヌ集団から13種類のミトコンドリアDNAのハプログループを検出したが、最も多かったのは、オホーツク文化人に高頻度で見いだされているハプログループYだった(32%)。それに続いて北海道の縄文人に高頻度で見られるN9bが検出され(20%)、それ以外は北方系の先住集団に多いG1b,A4,Zなどが検出された。一方、本土日本人に特徴的なD4も約10%の頻度で存在し、更に南方の要素と考えられるB4,F1b,N9aなども頻度は少ないものの存在を確認できた。この結果は、北海道のアイヌ集団は在来の縄文人の集団にオホーツク文化人が流入して構成されたというシナリオを支持している。また同時に行った頭蓋形態小変異9 項目を指標にした,北海道集団(縄文/続縄文人・アイヌ・オホーツク人)とサハリンアイヌ・アムール川下流域集団・バイカル新石器時代人などと比較研究によって、北海道アイヌの祖先集団とオホーツク人は,これまで想定されていた以上に,活発な文化的・遺伝的交流を行っていた可能性が示され、遺伝子分析の結果を支持することになった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(15 results)