2010 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物におけるD-アミノ酸バイオシステムの機能と制御
Project/Area Number |
22380058
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉村 徹 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (70182821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
邊見 久 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (60302189)
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Keywords | D-アミノ酸 / D-Ser / D-セリンデヒドロターゼ / ALS / ピリドキサルリン酸 |
Research Abstract |
平成22年度は、(1)D-アミノ酸のバイオマーカーへの応用に関する研究、(2)D-アミノ酸代謝関連酵素の酵素学的研究、(3)D-Serと発生の関連に関する研究の3点を行った。(1)では、まずD-セリンデヒドラターゼとピルビン酸オキシダーゼを用いたD-Serの酵素定量法の確立を目標とし、D-Serから生成したピルビン酸をピルビン酸オキシダーゼと反応させ、その際生じる過酸化水素をペルオキシダーゼと共役させ蛍光的に検出することにより、1μMオーダーでのD-Ser定量を可能にした。難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、脳脊椎でのD-Ser濃度の上昇が上告されている。そこでこの定量法を用いて、ALSモデルマウスにおける病態の進行とD-Ser濃度の挙動を解析した。本年度の研究において脳脊髄液中のD-Serの定量は可能となった。(2)では細胞性粘菌由来の酵素を用いて、D-Serの生合成に働く真核細胞型セリンラセマーゼの反応機構、特に金属よる酵素の活性化や、基質のα-水素の授受に関わる触媒基について検討した。この結果、同酵素がMgとNaの両方で活性化を受けること、また両金属の結合部位が共通であることを明らかにした。また同酵素が補酵素ピリドキサルリン酸近傍にあるリジン残基とセリン残基を、Serの2位水素授受の触媒基として用いることを明らかにした。(3)では、D-セリンデヒドラターゼをカイコに投与して、カイコ体内のD-Ser濃度を低下させ、変態への影響を検討したが、明確な結果は得られなかった。また酵素にポリエチレングリコール修飾を行い、これによってマウスに対する免疫源性が低下することや酵素の体内保持時間が延長されることを明らかにした。
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Research Products
(12 results)