2011 Fiscal Year Annual Research Report
無花粉スギの胚性万能細胞の誘導によるマイクロプロパゲーション手法の開発
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22380088
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
石井 克明 独立行政法人森林総合研究所, 森林バイオ研究センター, センター長 (80353572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 佳久 独立行政法人森林総合研究所, 生物工学研究領域, チーム長 (50353842)
谷口 亨 独立行政法人森林総合研究所, 森林バイオ研究センター, 室長 (00360470)
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Keywords | 無花粉スギ / 胚性万能細胞 / マイクロプロパゲーション / 発根 / 順化 |
Research Abstract |
無花粉スギの多くの系統より胚性万能細胞等を誘導する手法を開発し、各個体に共通する誘導特性を検索し、個体再生、発根、順化の効率化をはかることにより、各クローンに普遍的な増殖技術の開発を目指した。無花粉スギからの継代培養条件の検索では、多くの無花粉スギ個体を用いて、針葉の無菌化を行い、継代培養に適した培地や、培養環境を検索して、雄性不稔スギ福島不稔2号、5号、田原1号、青森1号等や精英樹大井7号x中4号間の交配で得た、無花粉形質とともに、生長形質でも優れている無花粉スギで最適条件を確立した。継代培養には、植物ホルモンのBAPを含有した1/2LP培地と活性炭を含有した1/2LP培地に交互に培養する手法が適していた。幼若化条件の検索では、無花粉スギの継代培養を行い、得られた組織に低温処理や植物ホルモン処理、さらに連続試験管内挿し木処理さらにポリアミン処理等を施して、幼若化を進め、胚性万能細胞や苗条原基を誘導する条件を検索した。クローンによる培養反応の違いの検証では、無花粉スギの細胞を懸濁培養し培養条件に対する反応の違いを解明し、遺伝的な効果を検証した。無花粉スギの培養シュートからの発根率の向上では、Cl-IAA(塩素が付加したインドール酢酸)とBAP(ベンジルアミノプリン)を培地に添加してスギの培養シュートの発根率の最適条件を決定し、根の微細構造を解析した。炭酸ガス培養装置を用いて、炭酸ガス濃度を1000PPMにした環境下で、無花粉スギの培養シュートの発根や根の微細構造への効果を比較し、炭酸ガスの発根への有効性を検証した。再生個体の順化手法の開発では、各種順化環境制御を行って、苗テラス装置を用いて最小2週間で再生無花粉スギの順化に成功した。炭酸ガス濃度の変化や、赤色光の照射の順化への影響を試験した。また、多くの無花粉スギクローンについて順化後、苗畑に植栽し栽培反応の違いの観察より、遺伝的な効果を検証し、フィールドでの生長を調査する試験を行い、マイクロプロパゲーションの実用化のための知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りの研究の進展を見、多くの無花粉スギのインビトロでの再生系を確立しつつあるから。
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Strategy for Future Research Activity |
無花粉スギのマイクロプロパゲーションによる効率的な増殖システムを開発するために、培地や培養条件の改良をさらに進め、予定通りの研究を遂行する。
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Research Products
(14 results)