2011 Fiscal Year Annual Research Report
微細構造制御によるプリンタブルペーパーエレクトロニクスの創出
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22380092
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江前 敏晴 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (40203640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯貝 明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40191879)
佐藤 利文 東京工芸大学, 工学部, 教授 (00308339)
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Keywords | 紙 / フッ素系ポリマー / 疎水化 / TEMPO酸化セルロース / 銀ナノ粒子インク / パターンニング / 導電性 |
Research Abstract |
紙を基板とした印刷エレクトロニクスの実用化に向けて、インクジェット(IJ)印刷を用いて紙の上に微細かつ高導電性の銀配線を形成することを目的とした。紙の表面構造の違いが銀配線の形状・導電性に与える影響についてまず検討した。表面構造の異なる各種塗工紙について比較したところ、IJ紙試料では表面の多孔構造由来の毛細管吸収力により最も微細な銀配線が形成された。また銀配線の接着性は紙の表面粗さによって発現した。つまり、液体を急速に吸収する多孔質層を表面に持ち、且つ適度に粗い表面を持つ用紙が基板との接着性と導電性を併せ持つ銀配線を形成できた。次に、フッ素系ポリマーを用いて紙の表面処理を行い、濡れ性を制御することで銀配線の微細化・高導電化を目指した。表面処理を行った試料では、全ての試料において臨界表面エネルギーγcの低下が確認された。しかし、表面非塗工の手すき紙や表面が平滑なオフセット用コート紙では銀配線の微細化が確認されたものの、IJ紙試料では大きな性能変化は見られなかった。さらに、TEMPO触媒酸化セルロースナノフィブリル(TOCN)を使用して紙の表面処理を行い、銀ナノ粒子インクの浸透・濡れ広がりを制御することでより高性能の銀配線を目指した。TOCN-COONaを用いた表面処理の場合、インクの浸透抑制により導電性のある銀配線が形成されたものの、インクの濡れ広がりが大きく、配線の幅という点で課題があった。これを解決するために、長鎖アルキル付加型TOCNを用いた表面処理を行った。この処理により銀ナノ粒子インクの浸透・濡れ広がりが大きく減少し、結果としてIJ用マット紙に匹敵する銀配線の微細化・高導電化に成功した。以上より、長鎖アルキル付加TOCNを用いた表面処理は紙の特性を保ちつつ微細配線の形成を可能にする手法として今後の発展が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
銀ナノ粒子インクを使った紙上での配線は、フッ素系ポリマー疎水化処理だけでなくセルロース系材料による疎水化処理により高導電性を発現させることができた。セルロース系材料だけによるペーパーエレクトロニクスの実現に道筋が付けられた。
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Strategy for Future Research Activity |
インクジェット印刷だけにより、ペーパーエレクトロニクス実現が目標であり、セルロース系材料による疎水化処理をどの程度インクジェット装置で行えるかが問題となる。また写真画質インクジェット紙は細線化が可能であるが接着性(耐久性・耐擦性)に課題があるため、対策をとる必要がある。次年度の課題としたい。
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Research Products
(17 results)