2010 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース系バルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池の創製に向けての基礎的研究
Project/Area Number |
22380096
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中坪 文明 京都大学, 生存圏研究所, 研究員 (10027170)
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Keywords | ユビキタス有機薄膜太陽電池 / 理想的なpin接合 / セルロースの分子特性 / セルロースナノファイバー(CNF)の特性 / セルロースの役割分担型機能化 / 非極性エーテル基と極性エステル基 / Huisgen反応 / 網目状薄膜 |
Research Abstract |
本研究は、高いエネルギー変換効率、安価、軽量、フレキシブル、持ち運びができるなど、無機薄膜太陽電池と比較し多くの利点を持つユビキタス有機薄膜太陽電池の創製に向けた基礎的研究である。特に、高いエネルギー変換効率の有機薄膜太陽電池の創製のキーは,理想的なpin接合を持つデバイスの構築にあるが、そのようなデバイスが創製された例は無い。そこで本年度は、セルロースの分子特性(分子鎖に沿って繰り返し単位の距離に水酸基を持つ、自己組織化能)と高分子的性質(製膜性など)を考慮して、二つの方向、すなわち1)セルロース誘導体の相分離構造を活用する、2)セルロースナノファイバー(CNF)の特性(大きな比表面積、結晶構造、大きな強度、熱安定性、透明性など)を活用することにより理想的なpin接合デバイスの構築を検討した。 1)については、セルロースの6位一級水酸基にはp型官能基(フタロシアニン:Pc)またはn型官能基(フラーレン:Fullまたはペリレン:Per)を共有結合にて導入し(機能性官能基の導入)、残りの2と3位二級水酸基には相分離し得る極性の異なる官能基を導入する(セルロースの物性制御)基本計画(セルロースの役割分担型機能化のコンセプト)で、まずどのような官能基同士が相分離し得るのかを検討した。その結果、非極性エーテル基と極性エステル基の組み合わせにより、満足に行く相分離が期待できることを確認した(FE-SEM観察と原子間力顕微鏡)。 2)にいては、Huisgen反応を適用し、容易かつ定量的にCNFの表面にPcを化学結合により導入し得る事、その縣濁液をスピンコート法により基板上に塗布すると網目状薄膜が調製し得ることを見いだし(FE-SEM観察により)、理想的pin接合デバイス構築のための重要な知見を得た。
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