2011 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース系バルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池の創製に向けての基礎的研究
Project/Area Number |
22380096
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中坪 文明 京都大学, 生存圏研究所, 研究員 (10027170)
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Keywords | ユビキタス有機薄膜太陽電池 / 理想的なpin接合 / ナノセルロースの表面科学修飾反応 / パルクヘテロ接合太陽電池(BHSC)デバイス / Huisgen反応 / 亜鉛フタロシアニン担持ナノウイスカー(ZnPh-CNW) / ITO/PEOT/PSS/ZnPh-CNW/C60/Al / 光電変換機能を発現 |
Research Abstract |
本研究は、安価、軽量、フレキシブル、持ち運び可能、特に弱光下での有効発電、など、無機薄膜太陽電池と比較し多くの利点を持つユビキタス有機薄膜太陽電池の創製に向けた基礎的研究であり、高いエネルギー変換効率(10%以上)の達成は必須である。この点を解決するためには理想的なpin接合デバイスの構築がキーとなるが、そのような高効率デバイスが創製された例は無い。本研究は、セルロースの分子特性、および高次構造特性を利用した理想的pin接合を構築することを目的とした。 22年度ではセルロース誘導体およびナノセルロース誘導体の両者の可能性について検討した。23年度はデバイス化に際し、繊維化およびフィルム化が不要な、ナノセルロース誘導体が優位であるとの判断で、ナノセルロースを用いた構築材料の創製を検討した。すなわち、まず、ナノセルロースの表面化学修飾反応により、p型半導体官能基(ポルフィリン、フタロシアニン、ポリチオフェンなど)担持ナノセルロースを調製し、次いで、バルクヘテロ接合太陽電池(BHSC)デバイスの構築を検討した。その結果、代表的なClick反応であるHuisgen反応を用いて調製した亜鉛フタロシアニン担持ナノウイスカー(ZnPh-CNW)を用いて構築したBHSCデバイス(ITO/PEOT/PSS/ZnPh-CNW/C60/Al)が、まさしく、光電変換機能を発現することを、セルロース系としては初めて見出した。今後、変換効率の向上は必須であるが、将来のユビキタス有機薄膜太陽電池の創製に向けた第一歩として十分に評価し得る結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
亜鉛フタロシアニン担持ナノウイスカー(ZnPh-CNW)を用いて構築したBHSCデバイス(ITO/PEOT/PSS/ZnPh-CNW/C60/Al)が、まさしく、光電変換機能を発現することを、セルロース系としては初めて見出しことは、本研究目的のユビキタス有機薄膜太陽電池の創製に向けた第一歩として十分に評価し得る結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に得られた成果に基づき24年度は以下の項目について精査研究を進め、少なくとも変換効率5%以上を目指す。 1)亜鉛フタロシアニン担持ナノウイスカー(ZnPh-CNW)とn型有機半導体(フラーレン誘導体)の混合比、2)薄膜厚さ3)薄膜の加圧、4)天然色素(藻類スピルリナクロロフィル、クマリン、カロチンなど) 5)金属ナノ粒子(Au、Agなど)ナノ繊維の添加、6)塗布とスピンコーテング法 なお、本年度は以上の過密な研究を円滑に遂行するために,日本製紙株式会社研究開発本部主席研究員伊達隆氏を研究協力者として登録する予定である。
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