2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22380108
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 周平 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (70134658)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 海洋保全 / 環境分析 / 生態学 / 分類学 / 国際研究者交流 / 東南アジア / データベース / 生物多様性 |
Research Abstract |
東南アジア海域における動物プランクトンの多様性に関する情報の整備・拡充を目的として以下の項目について調査・研究した。 1.動物プランクトン群集の時空間変動:マレーシアのサンゴ礁およびアマモ場で過去に採集された試料について種を同定・計数し、両生息場における種組成の時空間的変動を明らかにした。2.分類学的知見の拡充:インドネシアからラビドケラ科、ポンテラ科、およびトルタヌス科のカイアシ類未記載種15種を見いだし、新種記載のための詳細な形態の観察と描画を行った。アミ類については、先行プロジェクトのトレーニングコースで使用した同定のためのマニュアルに新たな知見を加え改訂版を作成した。また、黒海沿岸で近年他海域からの侵入種としてOithona brevicornisと同定されていたカイアシ類を、アジア海域の近縁種と比較した結果、上記種名は誤同定であり、本種は東アジアを主分布域とするOithona davisaeであることを明らかにした。3.遺伝学的解析:カイアシ類、アミ類、ヤムシ類について、前年度に引き続き分析・解析を継続した。この結果、マレーシアのアマモ場から採集されたカイアシ類Oithona attenuataの種内に大型、小型の2型があることを見いだした。現在これら2型についてミトコンドリアDNAのCO1遺伝子をマーカーとして遺伝的変異を解析中である。4.動物プランクトンデータベースの拡充:昨年度来継続しているアジア・西太平洋海域のヤムシ類の種多様性に関する定量的分布のデータベースを拡充し、長期的海洋観測データベースに基づき、環境要因(水温、クロロフィル等)から種多様性(種数、多様度)を推定するための重回帰モデルを構築した。 以上、東南アジアの動物プランクトンの多様性に関する新知見を得るとともに、既存情報の整備を順調に進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内および国外の研究協力者との協働がほぼ予定通り進んだため。また、2011年から新たに学振のアジア研究教育拠点事業(沿岸海洋学)が開始され、各国の研究者との連携が途切れることなく進められたことも大きな要因である。なお、当初予定していた動物プランクトンの間性・奇形を指標とした汚染状況の把握については、協力研究者(インドネシア)の健康上の理由により研究が滞ったので、次年度に取り組むこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究方針を堅持して、研究の柱とした(1)沿岸域における動物プランクトン群集の時空間変動、(2)分類学的知見の拡充、(3)遺伝学的解析、および(4)動物プランクトンの間性・奇形を指標とした汚染状況の把握の各項目について総括し、論文を作成・公表するとともに、動物プランクトンの多様性に関するデータベースを拡充・整備する。
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Research Products
(10 results)