2011 Fiscal Year Annual Research Report
農林資源問題と農林資源管理主体の比較史的研究―国家・地域社会・個人の相互関係―
Project/Area Number |
22380120
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野田 公夫 京都大学, 農学研究科, 教授 (30156202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂根 嘉弘 広島大学, 社会科学研究科, 教授 (00183046)
足立 芳宏 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40283650)
白木沢 旭児 北海道大学, 文学研究科, 教授 (10206287)
大田 伊久雄 愛媛大学, 農学部, 教授 (00252495)
伊藤 淳史 京都大学, 農学研究科, 助教 (00402826)
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Keywords | 農業史 / 農業経済学 / 農林資源 / 国土総合開発 / 総力戦体制 / 戦時食糧問題 / 戦争と農学 / 資源管理 |
Research Abstract |
今年度も前年度に引き続き、各自の資料調査を実施しつつその分析をすすめることを柱にしつつもグループ討議を重視し、これらの成果を年2回(7月・12月)の全体研究会で集約するという方法をとった。今年度において特筆すべきことは、7月の研究会を踏まえて、共同研究者全員がこれまでの到達点を中間的なモノグラフィとして執筆し、それを2グループとして取りまとめたことである。これらの成果は、平成23年度においては共同研究者内部のディスカッション・ペーパーとして活用してきたが、平成24年度(最終年度)には2冊の書物として世に問いうる量と質を備えたものへと、レベルアップしていく予定である。 今年度も参加メンバーが各々の計画に従って資料調査を実施し、その成果を整理・分析することを最重要課題として取り組んできた。調査先は前年度とほぼ同じであり、国内(東京・沖縄・北海道・名古屋)およびドイツ(ベルリン連邦文書館)・アメリカ(ニューヨークのフランクリン・D・ルーズベルト大統領図書館)での調査を実施し、ほぼ所期の成果を得ることができた。また、刊行資料としては、アジア学叢書(233~240)、近代日本「市場」関係資料集(第1~8巻)、郷土社会事典、興農合作社関係資料(DVD版)を購入し、共同研究者が活用するだけではなく、広く関心を有する人たちに利用していただく体制をとることができた。 平成24年3月には、日本農業経済学会において特別セッション「農林資源問題と総力戦の時代」を開催した。これまでも個別の学会報告は行ってきたが、このセッションは、「日・独・米比較農林資源論」グループによる初の共同報告であり、個別の論点とともに比較農林資源論の全体構想について批判を仰いだ。次年度には、日本農業史学会シンポジウムにおいて、「日本帝国圏の地域比較」グループによる共同研究成果を報告する予定である。なお、平成22年度以来、後者のグループに属するメンバーを中心に、日・韓・中農業史学会で報告を行い、韓国・中国の研究者の意見を聴取している。今年度(9月18~19日に東京農大オホーツクキャンパスにて開催)も4名が報告した。次年度もこの方向を継続したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題を「国家レベルの比較(日本・ドイツ・アメリカ)」と「日本帝国圏諸地域(満洲・中国東北部・南洋群島・樺太)の実態分析」とに大別するとともに、共同研究者をグループ分けして研究をすすめてきたことが効果をあげた。予定した課題は、一部の例外を除いてほぼ達成できたと考えている。参加した16人の研究者が、それぞれの分担課題につきオリジナリティの高い研究論文として取りまとめられる目途がたち、それらを総括して共同研究として問いうる論点と体系性も整いつつある。最終年度(平成24年度)には、共同研究の成果を2冊の書物として取りまとめることを目標にできると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様、共同研究者のそれぞれが補足調査とその分析をさらにすすめることが基本である。今後さらに、これらの成果を単行本として世に問えるレベルのものに引き上げるため、国際学会も含む関連諸学会・研究会での研究成果報告を行い、積極的に批判を仰いでいきたい。また、これまでも夏(7月か8月)と冬(12月か1月)に全体研究会を開催してきたが、次年度はとくに成果を出版することを意識し、問うべき内容を深めることに努力したい。なお、共同研究者のなかに京都大学比較農史学研究室の院生たちが含まれているので、これまで同様、演習の場でも報告・討議を重ねていく予定である。
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Research Products
(5 results)