2012 Fiscal Year Annual Research Report
侵害受容器を介した病態痛発生の分子機構の解明と痛覚評価モデル系の確立
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22380160
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
太田 利男 鳥取大学, 農学部, 教授 (20176895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 賢次 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00400143)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | Ca-imaging / TRPA1 / 熱感受性 / 遺伝子クローニング |
Research Abstract |
本研究の目的は、病態痛の分子基盤の一つと考えられる侵害受容チャネル蛋白質であるTransient Receptor Potential(TRP)チャネルに着目し、その活性及び制御機構を明らかにすることである。本年度は、これまで明らかにされていなかった動物種におけるTRPA1遺伝子の機能解析を行った。X. Tropicalisより遺伝子クローニングしたxtTRPA1遺伝子を培養細胞へ異所性発現させ、チャネル活性を細胞内Caイメージングにより解析した。その結果、xtTRPA1チャネルは哺乳類と同様にシンナムアルデヒド等の刺激性化学物質に反応性を有することが分かった。更に、xtTRPA1チャネルは冷刺激に感受性のある哺乳類TRPA1とは異なり、熱刺激により活性化されることが明らかになった。同様な反応はX.tropicalisより分離した初代培養知覚神経細胞及び個体を用いた疼痛試験からも得られた。前年度の研究でX. Tropicalisには熱感受性TRPV1も発現していることを見出しており、両受容体に対する特異的なアゴニストを用いた解析の結果、TRPA1とTRPV1は知覚神経細胞において共発現していることが分かった。それ故、両チャネルタンパク質は熱感受性を補完しあう分子として機能していることが示唆された。加えて、xtTRPA1は哺乳類TRPA1で阻害薬として働くHC030031及びA967079により抑制を受けないことも見出した。これらの成績は、侵害受容チャネルを介した疼痛の管理及び鎮痛薬の作用点を明らかにするための重要な知見を与えるものと考えられ、今年度は阻害薬の作用点を点変異チャネル及びキメラ解析による分子生物学的手法を用いて明らかにすることを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究により新規チャネルのクローニングと機能解析に成功し、その成果を学会発表及び外国専門誌に掲載することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を遂行する上での特に問題はない。現在検討している侵害受容チャネルの更なる制御機構を解析していく予定である。
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