2011 Fiscal Year Annual Research Report
キラルイミドを用いる高立体選択的アルドール型反応の改善・展開と応用
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22390004
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小林 進 東京理科大学, 薬学部, 教授 (70101102)
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Keywords | キラルイミド / ピニロガス向山アルドール反応 / 1,2-ジオール / 全合成 / イソセンソールアセテート / マイクサラミド / メチノリド |
Research Abstract |
キラルイミドを不斉補助基として用いるジアステレオ選択的反応は、複雑な骨格を有する標的分子の不斉合成において重要な手段として国内外で活用されている。本研究では本申請者がこれまでに開発した二種類のアルドール型反応に関し、(1)ビニロガス向山アルドール反応については、従来とは逆の選択性を発現させるsyn-選択的反応の開発と、α,β-不飽和アルデヒドを基質としたときの反応性の改善、(2)不斉3級アルコールを含む1,2-ジオールの立体選択的合成法については基質一般性の検討、(3)これらの方法論を活用した生物活性天然物の不斉合成への応用について検討し、以下の成果を挙げることができた。 ビニロガス向山アルドール反応におけるsyn-選択的方法論の開発に関しては、ルイス酸、反応剤の添加順序などを変えて検討しているが、現時点では具体的な成果は得られていない。水を少量添加することによるビニロガス向山アルドール反応の加速効果は不飽和アルデヒドにおいて常に観察されることが多くの基質での検討の結果明らかとなった。 syn-選択的反応の開発に関しては最終年度の課題と考え、両方法論の改善に目処が立ったので、本年度は天然物合成への応用について主として検討を加えた。本年度は昨年度に引き続き、インセンソールアセテート、マイクサラミドA、メチノリドの合成について検討した。インセンソールアセテートに関しては、ファルネソール由来のアルデヒドとのアルドール反応により、不斉3級水酸基を含む1,2-ジオール部分の構築に成功した。マイクサラミドAに関しては、ビニロガス向山アルドール反応を活用し、またヨウ化ビニルボロナイトをC2ユニットとするワンポットStille-Suzukiカップリングにより極めて効率的、かつ保護基フリーの全合成を達成した。一方、メチノリドの合成に関しては、両方法論により不斉点の制御は既に解決しており、より効率的なアプローチについて現在検討を続けているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
syn-選択的ビニロガス向山アルドール反応の開発に関しては、未解決となっているが、両方法論を用いる生物活性天然物の全合成においては成果を挙げることができた。特に、マイクサラミドAの全合成は極めて効率的なものとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
生物活性天然物の全合成に関しては、インセンソールアセテート、メチノリドの全合成を平成24年度(最終年度)に達成する。 syn-選択的ビニロガス向山アルドール反応に関しては、マイクロリアクターなども活用することにより解決できるものと考えている。
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