2010 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレス応答シグナルによる糖・脂質代謝制御機構の解明とその臨床応用
Project/Area Number |
22390061
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
親泊 政一 徳島大学, 疾患ゲノム研究センター, 教授 (90502534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
親泊 美帆 徳島大学, 疾患ゲノム研究センター, 特任助教 (00596158)
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Keywords | 小胞体 / ストレス / 糖尿病 / eIF2αリン酸化 / トランスジェニックマウス / 膵β細胞 / 骨格筋細胞 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
小胞体ストレス応答の破綻により小胞体に蓄積する異常タンパク質は、糖尿病などさまざまな疾患の原因として注目されている。小胞体ストレス応答経路の中で、PERK経路は翻訳抑制と転写誘導を介して制御する複雑な応答である。その解析のために作製されたPERKノックアウトマウスは膵β細胞障害で糖尿病となる一方、PERKの下流であるeIF2αリン酸化部位のノックイン変異マウスは膵β細胞障害があるにも関わらず糖新生障害で低血糖と全く逆の表現型を示した。この複雑な表現型からPERK経路はこれまで知られていない代謝制御機構を持つことが明らかとなったが、これらのマウスは重篤な糖尿病や低血糖により生後すぐ死亡するので、さらなる解析が困難なことが技術的な問題点であった。この問題点を克服するために申請者らは肝臓特異的にPERK経路のシグナルのみを正と負に制御できるトランスジェニックマウスの作製を行った。肝臓特異的なシステムで解析することでこれまで分子機構が不明であったeIF2αリン酸化シグナルによる糖・脂質代謝の制御機構を明らかにすることができた。この発見を基に、eIF2αリン酸化シグナルは組織特異的な機能の制御にも役立っているのではないかという仮説を立てた。この小胞体を介する代謝制御の臓器ネットワーク仮説を明らかにするために、膵β細胞、骨格筋細胞、脂肪細胞特異的かつ人工リガンド依存的にeIF2αをリン酸化するトランスジェニックマウスの作製を行った。それぞれの臓器において、人工リガンド依存的なeIF2αリン酸化を確認することができ、代謝の解析を詳しくトランスジェニックマウスにて行った。
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