2011 Fiscal Year Annual Research Report
次世代DNAシークエンサーによるCTLメモリー樹立・維持の分子基盤解明
Project/Area Number |
22390095
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松島 綱治 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50222427)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 真一 金沢大学, 医薬保健研究域医学系, 特任教授 (00313099)
倉知 慎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00396722)
上羽 悟史 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00447385)
阿部 淳 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50581831)
|
Keywords | 免疫学 / 感染症 / メモリーCTL / 老化 / 免疫記憶 |
Research Abstract |
5'-端大規模並列処理配列決定法で得られた、CTLメモリーの遺伝子発現変化を詳細に解析した。発現が変化する遺伝子群のなかで、ケモカイン受容体CXCR3の発現がナイーブから一次メモリーに移行する際に160倍以上と強く誘導され、一次メモリーから二次メモリーに移行すると若干低下することが明らかとなった。ケモカイン受容体は生体内でCTLの局在を調整することが知られているが、メモリー形成に及ぼす影響ばこれまで知られていない。そこで、ケモカイン受容体がメモリーCTLの樹立に及ぼす影響について、ウイルス感染マウスモデルを用いて機能解析を行った。感染後早期の脾臓内局在に焦点を当てて組織学的な解析を実施した。その結果、活性化後早期にCD8陽性T細胞上に発現誘導さ'れるCXCR3が、脾臓内においてCD8陽性T細胞を傍リンパ鞘周辺T細胞領域から辺縁帯へ遊走させることで、エフェクター型への分化を促進していることが明らかになった。CXCR3は抗原特異的な活性化を受けたT細胞のみに発現が誘導されるため、辺縁帯への集積は抗原特異的T細胞に限定され、その他の非特異的な集団はT細胞領域内に残ることになる。これにより辺縁帯のスペースやサイトカインなどのリソースは抗原特異的細胞が大量のエフェクターCTLを産出するために有効に利用され、大多数の非特異的集団は炎症性サイトカインによるbystander活性化を避けることができるのではないかと、我々は考えている。CXCR3がほぼ全ての活性化CTL上に発現することから、ワクチン接種量(抗原や炎症シグナルの総量)を増加させずともCXCR3シグナルを制御することでワクチン効果を増強することが可能であると考えられる。本研究の成果は、TheJournalofExperimentalMedicineにて発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規大規模シークエンス法により、発現差を指摘された遺伝子(CXCR3)について、実際の生体感染症モデルを用いて機能解析を実施し、論文発表することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き当初の計画に基づき、メモリーCTLの分化と老化におけるエピジェネティック制御について解析を進める。
|