2011 Fiscal Year Annual Research Report
インシデントレポートによるリスクコスト算出の精緻化と自動化に関する研究
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22390106
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
廣瀬 昌博 島根大学, 医学部, 准教授 (30359806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 英輔 島根大学, 医学部, 准教授 (90244095)
竹村 匡正 京都大学, 医学研究科, 講師 (40362496)
吉原 博幸 京都大学, 医学研究科, 教授 (40182810)
今中 雄一 京都大学, 医学研究科, 教授 (10256919)
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Keywords | インシデントレポート / 有害事象 / リスクコスト / 医事データ / 診療報酬 / 病院管理 / 事象分類法 / 精緻化と自動化 |
Research Abstract |
平成23年度は、次の点について明らかにした。 (1)転倒転落以外の事例における発生頻度と追加的医療費の算出:23年度は島根大学における2007~09年度3年間の事例3,107件について検討した。分類別の追加的医療費は、薬剤・輸血871,794円、手術・治療・処置12,741,222円、検査6,048,915円などで、3年間総計30,149,108円であった。薬剤・輸血に関する件数は、傷害レベル別にレベル0は211件中84件、1は1,612件中702件、2は656件中227件、3aは420件中59件、3bは62件中2件、4bは1件中0件、5は3件中0件、およびその他142件中14件であった。また、聖マリア病院では、2009年度のみの集計でインシデントレポート件数1,251件のうち、レベル0は99件、1は521件、2は298件、3aは244件、3bは23件、4aは1件、5は4件、およびその他は61件であった。その追加的医療費は総計4,507,120円と算出された。 (2)インシデントレポートの自動分類に関する検討:われわれが開発したシステムを利用して、3病院におけるインシデントレポート(A病院:転倒・転落:一般=7,229件:1,077件;B病院:転倒・転落:一般=2,928件:1,097件;C病院:転倒・転落:一般=6,208件:2,092件)の転倒・転落事例について、自動分類させた。その結果、精度および再現率は、A病院:85.6%、93.9%、B病院:96.4%、84.9%およびC病院:94.2%、97.0%であった。1回目の分類により、再度、転倒・転落および一般事例を再分類させ、2回目の自動分類を実施したところ、精度および再現率は、A病院:88.1%、96.0%、B病院:96.7%、95.1%およびC病院:96.8%、98.4%と向上し、このような操作を繰り返すことで精緻化が可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の成果について、論文発表ならびに学会発表を多数行っているとおり、おおむね順調に進展していると、認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
とくに問題はない。今後も現在遂行中の研究を進めていく予定である。しかしながら、本研究のうち、インシデントにより、あらたに生じる追加的医療費を確認する場合、転倒転落事例は原疾患の医療費と区別することが比較的容易であるが、転倒転落以外の事例については原疾患の医療費と区別することが困難であったり、どのような診療行為があったか不明であるなど、retrospective studyとしての限界が認められる。このような理由から、転倒転落以外の事例について、追加的医療費の確認が予想以上に算出できない場合は、prospective studyの追加が必要となる可能性がある。
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Research Products
(14 results)