2010 Fiscal Year Annual Research Report
心筋前駆細胞/ナノファイバー複合体移植による心筋再生機序の解明
Project/Area Number |
22390156
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
永井 敏雄 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (00334194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小室 一成 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30260483)
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Keywords | 心筋前駆細胞 / パラクライン因子 / 細胞移植 / JAM-A |
Research Abstract |
平成22年度は、マウス急性心筋梗塞モデルを使用し、心筋前駆細胞と自己組織化ナノファイバー複合体を心筋内に注入、および、心筋表面に塗布してゲル化させることにより、移植細胞の生着を促し、心筋梗塞巣の範囲の縮小、および、心機能低下の予防効果が認められる事を明らかにした。移植効果の機序は、心筋細胞の細胞死抑制、血管新生、および、移植細胞の血管および心筋細胞への分化によった。そこで、心筋前駆細胞のパラクライン効果に注目し、心筋前駆細胞の培養上清から、心筋保護活性を有する蛋白の液体クロマトグラフィーによる分離を行なった。液体クロマトグラフィーにより得られた分画を用いて質量分析解析を行ない、vasorinを同定したが、in vitroの実験では心筋細胞保護効果が無かった。そこで、心筋前駆細胞、骨髄細胞、骨格筋芽細胞、脂肪間葉系細胞の培養上清を用いて抗体アレーによる比較解析を行ない、心筋前駆細胞に多く分泌される蛋白として、VCAM-1、GCSF、JAM-Aを同定した。VCAM-1、GCSFに関しては心筋梗塞後の心筋細胞保護、血管新生効果について報告されている。近年、JAM-AはADAM10と17により切断され、可溶性JAM-Aとなり、この可溶性JAM-Aが、好中球の内皮への接着を阻害して炎症を抑制することが報告がされており、抗炎症作用と移植効果との関連が示唆された。実際、心筋前駆細胞の培養上清および、s-JAMA蛋白は好中球の内皮細胞間隙の通過を阻止し、この作用はJAM-Aの中和抗体により阻止された。また、心筋前駆細胞と自己組織化ナノファイバー複合体、およびs-JAMA蛋白と自己組織化ナノファイバー複合体を移植する事により、心筋梗塞組織の好中球マーカー蛋白の発現が抑制された。本研究成果は、心臓における、抗炎症性パラクライン因子による心筋保護という新たな治療法の基礎となる。
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Research Products
(4 results)