2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞選択的ナノDDS技術を基盤とする革新的治療的血管新生療法の創製
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22390160
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江頭 健輔 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (60260379)
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Keywords | ナノテクノロジー / ドラッグデリバリーシステム / 治療的血管新生 |
Research Abstract |
1.生体吸収性ポリマーPLGAナノ粒子の製造:水中エマルジョン溶媒拡散法を用いて生体吸収性高分子ポリマー(PLGA)製ナノ粒子を作製した。蛍光マーカー(FITC)、あるいは、ピタバスタチンを封入した平均粒径200nmのPLGAナノ粒子を再現性良く作製できた。臨床治験に向けて適正医薬品製造基準(Good Manufacturing Practice)のピタバスタチン封入ナノ粒子製剤を製造した。 2.ウサギモデル実験: 臨床応用に向けてウサギモデルでの評価を行った。このモデルの利点は、ヒトの閉塞性動脈硬化症患者と同様に、1)慢性虚血モデルであること(マウスモデルは急性虚血である);2)側副血行路の発達を血管造影で検出できること、3)その機能を解析できること、である。 日本白色ウサギを用いて慢性下肢虚血モデルを作製した。下肢虚血誘導後7日目に生食、FITC封入ナノ粒子、ピタバスタチン、あるいは、ピタバスタチン(0.5mg/kg)封入ナノ粒子を虚血筋肉に注射した。 FITC封入ナノ粒子は4週間に渡り虚血筋肉の内皮細胞内皮細胞で検出されたことから、本ナノ粒子が虚血組織の血管内皮細胞に送達され、長く停留することが明らかになった。 ピタバスタチン封入ナノ粒子投与群において血管造影で確認できる側副血行路の誘導が証明された。他の3群では側副血行路の誘導は確認できなかった。 さらに、ピタバスタチン封入ナノ粒子投与群においてのみ、電気刺激による筋肉運動によって誘発される虚血が予防された。このことは、ピタバスタチン封入ナノ粒子投与によって機能的な側副血行路が発達したことを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ウサギモデルの研究は完了し、論文として掲載された。霊長類の研究の概ね終了している。心筋虚血に対する予備的効果も確認できた。 本研究では、ピタバスタチン封入ナノ粒子製剤開発の薬効薬理試験、製剤開発、等を実施し、重症虚血性疾患に対する探索的臨床試験の基盤とすることを目標としている。概要に記載したように治験薬GMP製造によるナノ粒子製剤が出来たことから、24年度に臨床治験を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画・方法に記載した通り、霊長類の下肢虚血モデルの研究を実施し、さらに、心筋虚血モデルにおける研究を完了する。
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Research Products
(13 results)